2001 東京理科大学 理学部数学科MathJax

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2001 東京理科大学 理学部数学科

配点40点

易□ 並□ 難□

【1】 行列 A= ( ab cd ) について次の性質 P を考える.

性質 P :行列 A は逆行列をもち,かつ行列 A とその逆行列 A -1 の和は,ある実数 k をとることにより A +A- 1=k A と表される.

ただし, E は単位行列である.行列 A がこの性質をもつとき,上の等式に現われる実数 k f (A ) で表すことにする.例えば,行列 A が単位行列 E である場合は, E+E -1 =E+E =2E であるので,性質 P をもち f (E )=2 となることがわかる.

(1) 行列 A= ( ab cd ) が性質 P をもち,かつ f (A) =a+d であるための必要十分条件を a b c d の式で与えよ.

(2) 行列 A が性質 P をもつとき, A2 も性質 P をもつことを示せ.

(3) 行列 A が性質 P をもつとき, 3 以上の整数 n に対しても A n が性質 P をもつことを示せ.さらに an=f ( An ) an-1 a n-2 および a 1 を用いて表せ.

(4)  A=( 0- 11 2 ) であるときの a8 a9 を求めよ.さらに,数列 { an } の一般項を求めよ.

2001 東京理科大学 理学部数学科

配点60点

易□ 並□ 難□

【2】 水平な板の上に半径 1 の円形の穴があいていて,この穴のふちには黒いインクがまんべんなく塗られている.半径が 1 より大きい球形の風船をこの穴のふち全体に接するようにおいたところ,風船の中心 C と穴の中心 O との距離は 12 であった.この風船に空気を入れ,風船が穴のふち全体に接している状態を保つようにしながらふくらませる.以下の文章(A)〜(C)を読んで(1)〜(6)の問いに答えよ.

〔断面図〕

2001年東京理科大理学部数学科【2】の図

(A) 板と風船が接する部分の摩擦はなく,風船の表面のふくらみかたは均一で球形を保ってふくらむとする.ふくらみにともなって,穴のふちにまんべんなく塗られたインクが風船の新しく接する部分に絶えまなく付着していく.

(1) 板の上方に板に平行な平面 α をとる.風船をふくらませていくとき,風船の表面のうちインクが付着した部分が,この平面にはじめて到達したときの風船の中心 C と点 O との距離を t とする.板と平面 α との距離 h t で表せ.

(B) (A)のように風船をふくらませ,風船の中心 C と点 O の距離が 3 になったところで風船をふくらませるのをやめる.

(2) ふくらませるのをやめた後の風船の状態を考える.板に平行な平面 α を,風船の表面のインクが付着した部分と共有点をもつように動かすときの,板と平面 α との距離の最大値 H を求めよ.

(C) (B)のように,風船の中心 C と点 O の距離が 3 になるまで風船をふくらませるあいだに,風船の表面のインクが付着した部分が通過する空間内の範囲は,ある立体をつくる.この立体 D の体積を次の手順で求める.

(3) (1)で考えた平面 α は,板との距離 h 0< h<H であるとき,その上に描かれた半径の異なる 2 つの円で挟まれた部分を立体 D と共有する.大きい方の円の半径 R を板との距離 h で表せ.さらに,小さい方の円の半径 r h と(1)で導入した変数 t を用いて表せ.

(4) 不定積分 (t 1+t 2+ t 31+ t2 ) dt を求めよ.

(5) (1)で求めた変数 h t による表示を用いて,積分 t hd h の値を求めよ.ただし, H は(2)で求めた値である.

(6) 立体 D の体積を求めよ.

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