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図1 静止した状態の円盤
【1】 回転する円盤と,それを均一に照らすための電球がある.図1に静止した状態の円盤を電球の方向から見た様子を示す.円盤は全体が黒色で,白いシールがか所にはってある.円盤はその中心のまわりに回転し,回転数は自由に設定できるとする.また,電球は秒ごとに回,非常に短い時間だけ光るようにしてある.周囲を暗くして,電球の明るさだけで電球の方向から観察しているものとして,以下の設問に答えよ.
図2 シールが止まって見える位置とそれを基準とした座標系
設問1 円盤の回転数を調節しての回転数で回転させると,円盤上のある場所でシールが止まって見えるようになる.ここで,シールが止まって見える位置上の一点を図2に示すように決める.そして,線分の方向とそれに直交する方向にそれぞれ軸と軸をとり,点の座標をとする.また,点に対応する実際のシール上の点をとし,その座標をとする.この点が実際にどのように運動しているかを調べる.シールが止まって見える位置に実際のシールが重なっている時点からの時間をとして,をの式で表せ.また,に対するの変化をグラフで示せ.なお,円盤の回転方向は図2に示すように反時計回りとする.
設問2 円盤の回転数をから微小に変化させて回転数を固定すると,シールがゆっくりと反時計回りに回っているように見えた.これは回転数がどのようになった場合であるか.に対するの変化を示したグラフを描き,それに電球の光った時点を書き入れて説明せよ.
設問3 設問2において,シールが秒間で回転の割合で反時計回りに回っているように見えたとして,実際の円盤の回転数を求めよ.
設問4 円盤の回転数をからまでゆっくりと増加させてゆくと,シールの見え方がどのように変化するか説明せよ.
図3 静止している自動車の車輪
設問5 図3に示した車輪をつけた自動車を映画に撮った.その映画を見ていると,自動車が走っているのにもかかわらず,車輪が止まって見えた.その時の自動車の速さを求めよ.さらに,自動車がこの速さより(a)少し遅く走っている場合,(b)少し速く走っている場合,それぞれの場合にホイールキャップの模様がどのように見えるかを説明せよ.ただし,映画では秒間にコマが画面に映写される.また,タイヤの直径はであるとし,自動車の速さは以上,未満であるとせよ.
設問6 設問1〜4で考察した実験系は,回転する物体の回転数をある決まった回転数に設定するために利用できる.そこで,この実験系に工夫を加えて以下の(a)または(b)それぞれに記述された目的を達成したい.どのようにすればよいかを,選択肢(a)または(b)のどちらかを選んでその記号を選択肢欄に記入し,具体的な数値を挙げて説明せよ.ただし,電球は秒ごとに正確に点灯する.また,電球には何も変更を加えてはならない.
(a) 電球の秒あたりの点灯回数に比べ,けた以上低い回転数に設定する
(b) 回転数へ設定する際の精度を上げる
【2】 コンピュータの変数には,有限の長さのデータしか記憶させることができない.今,変数に記憶させるデータとして整数を考える.コンピュータでは一般に,整数の表現法として,の補数表現と呼ばれる方法が用いられる.以下では,つの変数にのの補数表現で表せる任意のつの整数が記憶できるものとする.ただし,は以上の整数とする.
桁のの補数表現で表せる任意の整数を考える.の桁のの補数表現をと表記すると,これは以下の性質を満たす.
1.はまたはである
2.の値はである
上のつの性質から,はが負のときそれ以外のときであることがわかる.例えば,のとき,は,すなわち進数でと表される整数のの補数表現である.
以下の設問に答えよ.
設問1 桁のの補数表現で表せる整数の最小値,最大値をそれぞれとする.をの式で表せ.
設問2 を満たす任意の整数を考える.の桁のの補数表現をとするとき,を超えない最大の整数は,桁のの補数表現によってどのように表記されるかを示せ.さらに,その表記が正しいことを説明せよ.
設問3 を満たすでない任意の整数を考える.ここで,もを満たすとするとき,の桁のの補数表現が,の桁のの補数表現から次の手続きによって得られることを説明せよ.
手続き 「の桁のの補数表現の各桁を反転させた後,それを進数とみなし,を加算する」
ここで,各桁を反転させるという操作は,各桁のをに,をに置き換えることを意味する.なお,手続きの適用例を以下に示す.
(例) とする.進数の,桁のの補数表現は,である.これの各桁を反転させると,となる.さらにを加算するとで,これは進数の桁のの補数表現である.
設問4 コンピュータでの補数表現が利用される理由のつは,与えられた整数が正であるか負であるかにかかわらず,加算が同一の手続で行えることである.のすべてが以上以下であるような任意のつの整数について,の桁のの補数表現が次の手続きによって得られることを説明せよ.
手続き 「の桁のの補数表現を進数とみなして加算し,得られた結果の下位桁を採る」
手続きの適用例を以下に示す.
(例) とする.進数の桁のの補数表現は,それぞれである.これを進数とみなして加算すると,が得られる.この下位桁はであり,の桁のの補数表現である.