2003 京都大学 後期電気電子論述問題MathJax

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2003 京都大学 後期

工学部電気電子工学科

論述問題

易□ 並□ 難□

2003年京都大後期工学部電気電子工学科【1】の図

図1 静止した状態の円盤

【1】 回転する円盤と,それを均一に照らすための電球がある.図1に静止した状態の円盤を電球の方向から見た様子を示す.円盤は全体が黒色で,白いシールが 1 か所にはってある.円盤はその中心 O のまわりに回転し,回転数は自由に設定できるとする.また,電球は 1120 秒ごとに 1 回,非常に短い時間だけ光るようにしてある.周囲を暗くして,電球の明るさだけで電球の方向から観察しているものとして,以下の設問に答えよ.



2003年京都大久喜工学部電気電子工学科【1】の図

図2 シールが止まって見える位置とそれを基準とした座標系

設問1 円盤の回転数を調節して 120 /s の回転数で回転させると,円盤上のある場所でシールが止まって見えるようになる.ここで,シールが止まって見える位置上の一点 A 図2に示すように決める.そして,線分 OA の方向とそれに直交する方向にそれぞれ x 軸と y 軸をとり,点 A の座標を (a, 0) とする.また,点 A に対応する実際のシール上の点を B とし,その座標を (x, y) とする.この点 B が実際にどのように運動しているかを調べる.シールが止まって見える位置に実際のシールが重なっている時点からの時間を t として, y t の式で表せ.また, t に対する y の変化をグラフで示せ.なお,円盤の回転方向は図2に示すように反時計回りとする.

設問2 円盤の回転数を 120 /s から微小に変化させて回転数を固定すると,シールがゆっくりと反時計回りに回っているように見えた.これは回転数がどのようになった場合であるか. t に対する y の変化を示したグラフを描き,それに電球の光った時点を書き入れて説明せよ.

設問3 設問2において,シールが 5 秒間で 110 回転の割合で反時計回りに回っているように見えたとして,実際の円盤の回転数を求めよ.

設問4 円盤の回転数を 120 /s から 250 /s までゆっくりと増加させてゆくと,シールの見え方がどのように変化するか説明せよ.

2003年京都大後期工学部電気電子工学科【1】の図

図3 静止している自動車の車輪

設問5 図3に示した車輪をつけた自動車を映画に撮った.その映画を見ていると,自動車が走っているのにもかかわらず,車輪が止まって見えた.その時の自動車の速さを求めよ.さらに,自動車がこの速さより(a)少し遅く走っている場合,(b)少し速く走っている場合,それぞれの場合にホイールキャップの模様がどのように見えるかを説明せよ.ただし,映画では 1 秒間に 24 コマが画面に映写される.また,タイヤの直径は 0.6 m であるとし,自動車の速さは 30km /h 以上, 70km/ h 未満であるとせよ.

設問6 設問1で考察した実験系は,回転する物体の回転数をある決まった回転数に設定するために利用できる.そこで,この実験系に工夫を加えて以下の(a)または(b)それぞれに記述された目的を達成したい.どのようにすればよいかを,選択肢(a)または(b)のどちらかを選んでその記号を選択肢欄に記入し,具体的な数値を挙げて説明せよ.ただし,電球は 1120 秒ごとに正確に点灯する.また,電球には何も変更を加えてはならない.

(a) 電球の 1 秒あたりの点灯回数に比べ, 1 けた以上低い回転数に設定する

(b) 回転数 120 /s へ設定する際の精度を上げる

2003 京都大学 後期

工学部電気電子工学科

論述問題

易□ 並□ 難□

【2】 コンピュータの変数には,有限の長さのデータしか記憶させることができない.今,変数に記憶させるデータとして整数を考える.コンピュータでは一般に,整数の表現法として, 2 の補数表現と呼ばれる方法が用いられる.以下では, 1 つの変数に n けた 2 の補数表現で表せる任意の 1 つの整数が記憶できるものとする.ただし, n 2 以上の整数とする.

  n 桁の 2 の補数表現で表せる任意の整数 x を考える. x n 桁の 2 の補数表現を x n-1 *x n-2 * x1* x0 * と表記すると,これは以下の性質を満たす.

1. xi* 0 または 1 である

2. x の値は -x n-1 *× 2n-1 + i =0n -2 xi *×2 i である

 上の 2 つの性質から, xn- 1* x が負のとき 1 それ以外のとき 0 であることがわかる.例えば, n=8 のとき, 11010100 は, -1× 27+ 1×2 6+1 ×24 +1× 22 すなわち 10 進数で -44 と表される整数の 2 の補数表現である.

 以下の設問に答えよ.

設問1  n 桁の 2 の補数表現で表せる整数の最小値,最大値をそれぞれ α β とする. α β n の式で表せ.

設問2  αx β を満たす任意の整数 x を考える. x n 桁の 2 の補数表現を x n-1 * x1* x0 * とするとき, x2 を超えない最大の整数は, n 桁の 2 の補数表現によってどのように表記されるかを示せ.さらに,その表記が正しいことを説明せよ.

設問3  αx β を満たす 0 でない任意の整数 x を考える.ここで, -x α -x β を満たすとするとき, -x n 桁の 2 の補数表現が, x n 桁の 2 の補数表現から次の手続き A によって得られることを説明せよ.

手続き A  「 x n 桁の 2 の補数表現の各桁を反転させた後,それを 2 進数とみなし, 1 を加算する」

 ここで,各桁を反転させるという操作は,各桁の 0 1 に, 1 0 に置き換えることを意味する.なお,手続き A の適用例を以下に示す.

(例)  n=8 とする. 10 進数 44 の, 8 桁の 2 の補数表現は, 00101100 である.これの各桁を反転させると, 11010011 となる.さらに 1 を加算すると 11010100 で,これは 10 進数 -44 8 桁の 2 の補数表現である.

設問4 コンピュータで 2 の補数表現が利用される理由の 1 つは,与えられた整数が正であるか負であるかにかかわらず,加算が同一の手続で行えることである. x y x+y のすべてが α 以上 β 以下であるような任意の 2 つの整数 x y について, x+y n 桁の 2 の補数表現が次の手続き B によって得られることを説明せよ.

手続き B  「 x y n 桁の 2 の補数表現を 2 進数とみなして加算し,得られた結果の下位 n 桁を採る」

 手続き B の適用例を以下に示す.

(例)  n=8 とする. 10 進数 45 -44 8 桁の 2 の補数表現は,それぞれ 00101101 11010100 である.これを 2 進数とみなして加算すると, 100000001 が得られる.この下位 8 桁は 00000001 であり, 45+(- 44)=1 2 桁のの補数表現である.

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