2004 京都大学 後期情報論述問題

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2004 京都大学 後期

工学部情報学科

論述問題

配点150点

易□ 並□ 難□

【1】  0 1 からなる長さ n の系列を考える. i=1 2 n について a i=0 または 1 とし, a1 a2 a n のなす系列を長さ n 2 元系列とよび, a1 a2 an と表す. ai i 番目のシンボルという.この 2 元系列の全体の集合を S n とする.例えば, S1 ={0 ,1} S2 ={00 ,01,10 ,11} S3= {000, 001,010, 011,100, 101,110, 111} である. Sn の要素数は 2 n である.このとき,各 2 元系列 a 1a2 a n に,整数

X=a1 2 n-1 +a2 2n -2+ +a n2 0(1)

を対応させると, 0X 2n- 1+ 2n-2 + +1=2 n-1 である. 0 から 2 n-1 までの 2 n 個の整数は, 2 元系列 a 1a 2 an を用いて(1)式のかたちに一意的に表される.これは背理法により次のように確かめることができる.いま, 2 つの異なる 2 元系列 a 1a2 a n a1 a2 an が(1)式により同じ整数を表していると仮定する.これら 2 つの 2 元系列は, 1 番目から (i -1) 番目までのシンボルがすべて一致し, i 番目で a i=1 a i =0 とすれば

2n- i+ ai+1 2 n-i- 1+ +an 2 0= ai+1 2n -i-1 +a i+2 2n-i -2+ +a n 20 (2)

となる.しかし,(2)式の左辺は 2 n-i 以上であるが,(2)式の右辺は 2 n-i -1 以下なので(2)式は成立しない.よって,上記の仮定は誤りであり,(1)式の X 0 から 2 n-1 までの各整数を一意的に表していることがわかる.

 逆に, 0 から 2 n-1 の範囲にある整数 X に対し(1)式をみたす 2 元系列 a 1a2 a n を求めるには次のようにする. X 2 で割り商と余りを,それぞれ q r として X =q× 2+r のかたちに書く.余り r 0 1 であるから(1)式より a n=r である.次に, q 2 で割り商と余りを求めるとその余りが a n-1 である.さらに,その商に対し同じ操作をし,この手順を繰り返して, an -2 a n-3 a1 を順に求める.ただし, 0 2 で割ったときの商は 0 余りは 0 とする.例えば, n=4 のとき X =7 に対しては 7 =3× 2+1 3= 1×2 +1 1 =0× 2+1 0= 0×2 +0 であるから,順に a 4=1 a3 =1 a 2=1 a1 =0 が得られ,求める 2 元系列は 0111 である.

  Sn の中で 1 をちょうど k 個含む 2 元系列の総数は, n 個から k 個を選ぶ組合せの数 C kn である.ただし, k=0 1 n である.よって, Sn に属するすべての 2 元系列に含まれる 1 の総数は

k =0n ( kC kn )= n2 n-1 (3)

である. i 番目のシンボルが 1 つまり, ai =1 である S n 2 元系列の個数は 2 i-1 ×2 n-i であるから,(3)式の結果は

i =1n ( 2i- 1× 2n- i)= n2 n-1

からも得られる.

  n 3 以上の自然数とし, N 個の整数 Y 0 Y1 YN- 1 を以下の手順により生成する.ただし, N=2 n である.

Y0 Y1 YN- 1 の生成手順

スタート 0 k=0 Y0= 0 としてステップ 0 へ進む.

ステップ 0 Yk に対し Yk =a1 2 n-1 +a2 2 n-2 ++ an 20 となる 2 元系列 a 1a2 a n を求め,ステップ 1 へ進む.

ステップ 1 a1= 0 ならば Y k+ 1= Yk+ N 2 とし, k 1 増やしてステップ 0 へ戻る. a1 =1 ならばステップ 2 へ進む.

ステップ 2 a2= 0 ならば Y k+1 =Yk + N4 -N2 とし, k 1 増やしてステップ 0 へ戻る. a2 =1 ならばステップ 3 へ進む.

ステップ m am= 0 ならば Y k+1 =Y k+ N 2m -N 2m -1 - -N4 -N 2 とし, k 1 増やしてステップ 0 へ戻る. am =1 ならばステップ m +1 へ進む.

ステップ n an= 0 ならば Y k+1 =Y k+1 -2- - N 4- N2 とし, k 1 増やしてステップ 0 へ戻る. an =1 ならば終了する.

[問題1-1] 以下の問いに答えよ.

(ⅰ)  n=3 のとき, Yk k= 0 1 7 を順に求めよ.

(ⅱ) 一般の n のとき, k Y k の関係を述べよ.



  0 1 からなる長さ n 2 元系列の中で, 1 の直後に 1 が続くことが禁止されている 2 元系列を b 1b2 b n bi =0 または 1 と表し,その全体の集合を T n とする.例えば, T1 ={0 ,1} T 2= {00,01 ,10} T 3={ 000,001, 010,100, 101} である.



[問題1-2] 次の初期値と漸化式で数列 {F k} を導入する.

F1= F2= 1 Fk+ 2= Fk+1 +F k k=1 2 (4)

集合 T n を, n 番目のシンボル b n 0 である長さ n 2 元系列の集合と 1 である長さ n 2 元l系列の集合とに分けて考えることにより, Tn の要素数は F n+2 であることを示せ.

[問題1-3]  Fk に関して以下の等式を証明せよ.

F k-1 +F k-3 ++ F4+ F2= Fk- 1 k 3 以上の奇数のとき) Fk -1+ Fk- 3+ +F 5+F 3=F k-1 k 4 以上の偶数のとき) (5)

[問題1-4]  0 から F n+2 -1 までの F n+2 個の整数は, Tn に属する 2 元系列 b 1b2 b n を用いて

Z=b1 F n+1 +b2 Fn ++ bn-1 F 3+b nF 2

のかたちに一意的に表されることを証明せよ.

[問題1-5]  Tn の中で 1 をちょうど k 個含む 2 元系列の総数を求めよ.

[問題1-6]  Tn に属するすべての 2 元系列に含まれる 1 の総数を F k を用いて表せ.

2004 京都大学 後期

工学部情報学科

論述問題

配点150点

易□ 並□ 難□

【2】  m 個の実数 a1 a2 am に対して,記号 max ( a1 ,a2 ,, am ) a 1 a 2 am の最大値を表すとする.各 a j max ( a1 ,a2 , ,am ) の引数とよぶ. max (a1 ,a2 ,, am ) max j=1, 2,, m (a j) と表す.また,

k1< k2< <k m(1)

をみたす実数 k 1 k2 km 任意の実数 α 1 α2 α m について,実数 x を変数とする関数 P (x )

P(x )=max j=1 ,2, ,m (kj x+ αj )(2)

と定める.

 関数 P (x) の表記について考える.例えば, max( 0,x- 2,2 x) max (0, 2x ) は,見かけ上は異なるが,任意の実数 x に対して

max(0 ,x-2 ,2x )=max (0,2 x)

となり,関数としては同一である.すなわち, max( 0,x- ,2 x) における引数 x- 2 は省略することができる. max( 0,2 x) は,これ以上引数を省略することができない.

 上の例のように,不要な引数を省略することにより,関数 P (x ) の表記を簡単化できる場合がある. P( x) の表記をこれ以上簡単化できないとき, P( x) は最小形式で表されているという.

[問題2-1]  max の基本的性質について以下の問いに答えよ.

(ⅰ) 任意の実数 b c に対して

a max( b,c) =max (ab ,ac )(3)

が成り立つような実数 a の値の範囲を求めよ.

(ⅱ) 任意の実数 a b c d に対して次の式が成り立つことを示せ.

max(a ,b)+ max(c ,d)= max(a +c,a +d,b +c,b +d) (4)

[問題2-2] (2)式の関数 P (x) について以下の問いに答えよ.

(ⅰ) 任意の実数 x に対して

max(2 ,x+2 ,2x ,3x )=max (2,x +2,3 x)

となることを示せ.

(ⅱ) (1)式をみたす k 1 k2 km について, 2 つの直線 y= kj x+α j y= kj+ 1x +αj +1 の交点の x 座標を β j とする.ただし, j=1 2 m-1 である.関数 P (x ) が最小形式で表されているとき,実数 β 1 β2 β m-1 のみたす条件を求めよ.ただし,十分性を確かめる必要はない.

[問題2-3] (2)式の関数 P (x) について,相異なる 2 (b ,P( b)) (c ,P( c)) を通る直線を y =f( x) と表す.ただし, b<c とする.このとき, bx c である任意の x について

P(x )f (x)

が成り立つことを示せ.

[問題2-4] 以下の関数 F 1( x) F2 (x) F3 (x )

c0+ j= 1n max (cj ,x)

の形に表せ.ただし, N は自然数とし, c0 c 1 cn は実数とする.

(ⅰ)  F1 (x)= max(0 ,x+2 ,2x +1)

(ⅱ)  F2 (x)= limj= 1,2, 3 ((j- 1)x+ αj ) ただし, F2 (x ) は最小形式で表されているとする.

(ⅲ)  F3 (x)= limj= 1,2, ,m (( j-1) x+ αj ) ただし, F3 (x ) は最小形式で表されているとする.

[問題2-5]  x を任意の実数とする.数列 {u n}

によって定める.

(ⅰ)  u4 r max( a,x) +bx +c の形に表せ.ただし, r a b c x によらない定数である.

(ⅱ) ある自然数 N に対し

uN+ 1= -1 u N+2 =x

が成り立つ.このような最小の自然数 N を求めよ.