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【1】 とからなる長さの系列を考える.についてまたはとし,のなす系列を長さの元系列とよび,と表す.を番目のシンボルという.この元系列の全体の集合をとする.例えば,である.の要素数はである.このとき,各元系列に,整数
(1)
を対応させると,である.からまでの個の整数は,元系列を用いて(1)式のかたちに一意的に表される.これは背理法により次のように確かめることができる.いま,つの異なる元系列とが(1)式により同じ整数を表していると仮定する.これらつの元系列は,番目から番目までのシンボルがすべて一致し,番目でとすれば
(2)
となる.しかし,(2)式の左辺は以上であるが,(2)式の右辺は以下なので(2)式は成立しない.よって,上記の仮定は誤りであり,(1)式のはからまでの各整数を一意的に表していることがわかる.
逆に,からの範囲にある整数に対し(1)式をみたす元系列を求めるには次のようにする.をで割り商と余りを,それぞれとしてのかたちに書く.余りはかであるから(1)式よりである.次に,をで割り商と余りを求めるとその余りがである.さらに,その商に対し同じ操作をし,この手順を繰り返して,を順に求める.ただし,をで割ったときの商は余りはとする.例えば,のときに対してはであるから,順にが得られ,求める元系列はである.
の中でをちょうど個含む元系列の総数は,個から個を選ぶ組合せの数である.ただし,である.よって,に属するすべての元系列に含まれるの総数は
(3)
である.番目のシンボルがつまり,であるの元系列の個数はであるから,(3)式の結果は
からも得られる.
は以上の自然数とし,個の整数を以下の手順により生成する.ただし,である.
の生成手順
スタート:としてステップへ進む.
ステップ:に対しとなる元系列を求め,ステップへ進む.
ステップ:ならばとし,を増やしてステップへ戻る.ならばステップへ進む.
ステップ:ならばとし,を増やしてステップへ戻る.ならばステップへ進む.
ステップ:ならばとし,を増やしてステップへ戻る.ならばステップへ進む.
ステップ:ならばとし,を増やしてステップへ戻る.ならば終了する.
[問題1-1] 以下の問いに答えよ.
(ⅰ) のとき,を順に求めよ.
(ⅱ) 一般ののとき,との関係を述べよ.
とからなる長さの元系列の中で,の直後にが続くことが禁止されている元系列をまたはと表し,その全体の集合をとする.例えば,である.
[問題1-2] 次の初期値と漸化式で数列を導入する.
(4)
集合を,番目のシンボルがである長さの元系列の集合とである長さの元l系列の集合とに分けて考えることにより,の要素数はであることを示せ.
[問題1-3] に関して以下の等式を証明せよ.
(5)
[問題1-4] からまでの個の整数は,に属する元系列を用いて
のかたちに一意的に表されることを証明せよ.
[問題1-5] の中でをちょうど個含む元系列の総数を求めよ.
[問題1-6] に属するすべての元系列に含まれるの総数をを用いて表せ.
【2】 個の実数に対して,記号はの最大値を表すとする.各をの引数とよぶ.をと表す.また,
(1)
をみたす実数任意の実数について,実数を変数とする関数を
(2)
と定める.
関数の表記について考える.例えば,とは,見かけ上は異なるが,任意の実数に対して
となり,関数としては同一である.すなわち,における引数は省略することができる.は,これ以上引数を省略することができない.
上の例のように,不要な引数を省略することにより,関数の表記を簡単化できる場合がある.の表記をこれ以上簡単化できないとき,は最小形式で表されているという.
[問題2-1] の基本的性質について以下の問いに答えよ.
(ⅰ) 任意の実数に対して
(3)
が成り立つような実数の値の範囲を求めよ.
(ⅱ) 任意の実数に対して次の式が成り立つことを示せ.
(4)
[問題2-2] (2)式の関数について以下の問いに答えよ.
(ⅰ) 任意の実数に対して
となることを示せ.
(ⅱ) (1)式をみたすについて,つの直線との交点の座標をとする.ただし,である.関数が最小形式で表されているとき,実数のみたす条件を求めよ.ただし,十分性を確かめる必要はない.
[問題2-3] (2)式の関数について,相異なる点とを通る直線をと表す.ただし,とする.このとき,である任意のについて
が成り立つことを示せ.
[問題2-4] 以下の関数を
の形に表せ.ただし,は自然数とし,は実数とする.
(ⅰ)
(ⅱ) ただし,は最小形式で表されているとする.
(ⅲ) ただし,は最小形式で表されているとする.
[問題2-5] を任意の実数とする.数列を
によって定める.
(ⅰ) をの形に表せ.ただし,はによらない定数である.
(ⅱ) ある自然数に対し
が成り立つ.このような最小の自然数を求めよ.