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【1】A(A-1) 組のデータが与えられているとし,これらのデータには
(1)
という次の関係が成り立つことが分かっているとする.ただし,とはに依らない定数とする.ここで,あるに対して,それぞれ次のつの状況を考える.
これらの状況には,ある付加条件のもとで成立しうるものと,成立しえないものがある.成立しうるものについては,そのための必要十分条件を以下のリストから選び,理由を説明せよ.また,成立しえないものについては,そのことを証明せよ.
条件:
前問のが雑音によって汚され,以下の関係式で得られるが観測されたとする.
(2)
いま,あるに対して,が成立していると仮定し,
が観測されたとする.このとき,以下の問いに答えよ.
(A-2) とするとき,との内,符号が決定できるものを挙げ,その符号を示せ.
(A-3) このつのデータだけから,との符号が一意に定まるために必要となるの条件を求めよ.
(A-4) とという事前知識があったとする.このデータが観測されるためにが満たすべき条件を求めよ.
B ある農産物は毎年秋に収穫され市場に出回る.年目()に農産物が単位当りの市場価格円で取引される場合,その年の需要は単位であるとする.ここで,はをみたす実数である.生産者は,農産物の生産に年を費やすため,年目の供給量を年目に決める.生産者は,年目の市場価格を円と予想して,その年の供給を単位に決める.ここで,予想価格はをみたす実数とする.市場価格は,需要と供給を均衡させる実数値,すなわち等式
(3)
をみたす値,に定められる.また,生産者が年目の市場価格を正しく予想した場合の市場価格をとする.
以下のつの設問においては,生産者が市場価格を正しく予想できるとは限らないことを前提とする.生産者は,年目の市場価格を,とをもとに,
(4)
と予想する.ここで,はをみたす実数である.
(B-1) とが等式の関係にあることを示し,とをで表せ.
(B-2) 市場価格について不等式
が成立していたとしよう.の取りうる範囲を求めよ.
(B-3) のとき,常に不等式
が成立することを証明せよ.
(B-4) 奇数年目の市場価格が常にであった,すなわち,
としよう.偶数年の市場価格を求めよ.
図1:熱プロセス
C 図に示すような,単位時間当たり一定量の水がタンクに流入し,タンク内にあるヒータによって暖められた後,温水となって流出していく熱のプロセスを考える.ただし,タンク内の水は十分攪拌されており,タンク内の水温は一様であると仮定する.また,タンクは完全に断熱されており,外部への熱の流出はないものとする.いま,時刻におけるタンクに流入する水の温度とタンクから流出する温水の温度をそれぞれとし,タンクおよびタンク内の水を併せた熱容量をとする.また,を,それぞれヒータの単位時間あたりの発熱量,流入する水がもたらす単位時間あたりの熱量,流出する温水が持ち去る単位時間あたりの熱量とする.ただし,は時間によらない.また,上記の内は,物理量の次元を表す.このとき,以下の問いに答えよ.
(C-1) この熱プロセスの動的な振る舞いを表す微分方程式を求める以下の手順の中で,のなかを下記のリスト中の単位の組み合わせで埋めよ.
リスト:
時刻において流出する温水の温度と流入する水の温度の差は
と書ける.一方,とはその時刻における対応する温度に比例するので,
が成立する.ここで,は熱抵抗と呼ばれ,の次元を持つ.このつの式を併せると,に関する以下の関係式(階の微分方程式と呼ばれる)が得られる.
(5)
ここで,はの次元を持つ.
(C-2) 初期時刻での温度差をとする.このとき,
が微分方程式(5)を満たすように定数を定めよ.
(C-3) いま,秒ごとにを観測し,とおく.このとき,との関係は,
の形で書ける.とを定めよ.
(C-4) 時間が十分経った後の流出温度と流入温度との差
を求め,なぜそのような値となるかについて説明を与えよ.