2008　東京工業大学　後期小論文第５類MathJax

2008-10267-0601

2008　東京工業大学　後期小論文第５類

易□　並□　難□

【１】　外見では区別がつかない $4$ つの箱があり，これらの箱のうち $1$ 箱もしくは $2$ 箱にボールが入れられている場合を考える．この時，次の順番でゲームを行う．

(1)　新しい箱を $4$ 箱用意する．
(2)　プレイヤー以外の第三者が，プレイヤーに見えないように箱の順番を入れ替える．
(3)　プレイヤーは，箱に触れることなく，これら $4$ 箱のうち $1$ 箱を選ぶ．
(4)　選んだ箱を開けて，中にボールが入っている場合にはあたりとなり， $x$ ポイント獲得する．入っていない場合ははずれとなり，この場合は何も得られない．なお， $x$ は正の値とする．

　この(1)〜(4)からなる一連のゲームを， $1$ 回の試行と呼ぶ．

問１　 $1$ 回の試行の結果，プレイヤーの選んだ箱がはずれであった場合，あたりの箱数を $2$ 箱にして，引き続き試行を行う．プレイヤーの選んだ箱があたりであった場合には，あたりの箱数を $1$ 箱にする．このルールに従い，プレイヤーが試行を繰り返すとき，以下の問いに答えよ．

(a)　 $n - 1$ 回目の試行を行う時点で，あたりが $1$ 箱だけ，および $2$ 箱存在している確率をそれぞれ $p_{1} (n - 1)$ および $p_{2} (n - 1)$ としたとき， $n$ 回目の試行において，あたりが $1$ 箱だけ存在している確率 $p_{1} (n)$ を， $p_{1} (n - 1)$ および $p_{2} (n - 1)$ を用いて表せ．同様に，あたりが $2$ 箱存在している確率 $p_{2} (n)$ を， $p_{1} (n - 1)$ および $p_{2} (n - 1)$ を用いて示せ．

(b)　あたりが $1$ 箱だけ存在している状態から， $1$ 回目の試行を開始するものとする． $n$ 回目の試行においてプレイヤーの選んだ箱があたりである確率 $p (n)$ を， $n$ を用いて示せ．

問２　問１のルールに加え，プレイヤーが箱を選ぶ前に，かつ，この時点でのみ，プレイヤーは希望すればヒントを要求できることにする．ヒントは $1$ 回の試行につき $1$ 回だけ要求できる．ヒントを $1$ 回要求することにより，プレイヤーはその時点で，はずれの箱を $1$ つ知ることができ，その手数料として $y$ ポイント支払う．ただし， $y$ は正の値とする．

　なお，プレイヤーの獲得ポイントの合計が負の値となっても差し支えないものとする．つまり，手持ちのポイントが $y$ 未満の状態でも，ヒントを要求し， $y$ ポイント支払えるものとする．また，プレイヤーは，各試行終了時の手持ちポイントの期待値が最大となる行動を取るものとする．

(a)　ヒントを聞いた後に，選んだ箱があたりである確率を，あたりが $1$ 箱だけ存在している場合，および，あたりが $2$ 箱存在している場合，それぞれについて計算せよ．

(b)　獲得ポイントをより多くするためには， $x$ と $y$ がどのような関係を満たすときにヒントを要求すればよいか，あたりが $1$ 箱だけ存在している場合，および，あたりが $2$ 箱存在している場合，それぞれについて示せ．

(c)　あたりが $1$ 箱だけ存在し，かつ，手持ちポイントが $0$ ポイントの状態から， $1$ 回目の試行を開始するものとする． $x = 500 ， y = 100$ の時， $n$ 回目の試行が終わった時点でプレイヤ−の手元にあるポイントの期待値を求めよ．

問３　問２で用いたルールを次のように変更する．プレイヤーがヒントを要求するタイミングを改め，プレイヤーが箱を選んだ後，箱を開ける前に，かつ，この時点でのみ，プレイヤーは希望すればヒントを要求できることにする．このときも問２と同様に，ヒントは $1$ 回の試行につき $1$ 回だけ要求できる．ヒントを $1$ 回要求することにより，プレイヤーはその時点で，自分がすでに選んでいる箱以外の箱の中から，はずれの箱を $1$ つ知ることができる．ヒントを $1$ 回要求することにより，手数料として $y$ ポイント支払う．ただし， $y$ は正の値とする．ヒントを聞いた後，箱を開ける前に，プレイヤーは，希望するならば，すでに選んでいる箱以外の箱を選び直すことができることとする．

　なお，ここでも問２と同様に，プレイヤーの獲得ポイントの合計が負の値となっても差し支えないものとする．つまり，手持ちのポイントが $y$ 未満の状態でも，ヒントを要求し， $y$ ポイント支払えるものとする．また，プレイヤーは，各試行終了時の手持ちポイントの期待値が最大となる行動を取るものとする．

(1)　あたりが $1$ 箱だけ存在している場合，および，あたりが $2$ 箱存在している場合，それぞれについて，ヒントを要求した後に箱を選び直した時にあたりである確率を計算せよ．さらに，ヒントを要求した後に箱を選び直さない時にあたりである確率を，それぞれの場合について計算し，あたりである確率を上げるためには，ヒントを聞いた後にどのような行動をとるべきか，ヒントを要求した後に箱を選びなおした時と比較することにより，説明せよ．

(b)　 $x = 500 ， y = 100$ の時，あたりが $1$ 箱だけ存在している場合，および，あたりが $2$ 箱存在している場合，それぞれについて，ヒントを要求することにより獲得するポイントの期待値が増えるか減るか，理由とともに示せ．

2008 東京工業大学 後期小論文第５類MathJax

2008　東京工業大学　後期小論文第５類MathJax