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2013 岩手県立大学 前期数学

ソフトウエア情報学部

易□ 並□ 難□

【1】 次の文章を読み,あとの問いに答えなさい.途中の式等は必要ありません.

 A君と B 君は,遊びにかけるお小遣いと余暇の時間の使い方について,いつも頭を悩ませていました.A君とB君は,主にゲームと漫画のために,お小遣いと余暇の時間を使っています.しかし,無計画にゲームと漫画を楽しんでいては,お小遣いや時間が足りなくなってしまいます.ある月は,お小遣いが余っているのに,時間が足りなくなってしまいました.逆に,ある月は,時間が余っているのに,お小遣いが足りなくなってしまいました.そこで,A君とB君は, 1 ヶ月当たりのお小遣いと時間を,計画的に使って,できるだけ満足度を大きくする方法について,それぞれ考えてみることにしました.

・A君の場合

 A君は,まず,ゲームと漫画にかかるお金や時間,満足度を分析し,それぞれ数値化してみました.ゲームはゲームセンターでプレイしますが,そのプレイ代は 1 200 円で, 1 回あたり 30 分楽しむことができます.漫画本は 1 300 円で, 1 冊あたり 20 分楽しむことができます.また,ゲーム 1 回と漫画本 1 冊は同程度に楽しいと感じるため,ゲーム 1 回あたりの満足度,漫画本 1 冊あたりの満足度をともに 15 と設定しました.なお,A君が 1 ヶ月あたり余暇に使えるお小遣いは 6,000 円であり,同様に,余暇に使える時間は 10 時間( 600 分)です.

 ここで,計画的にお小遣いと時間を使うとは,「最大の満足度が得られるよう,得られたお小遣いと時間を,ゲームと漫画へ適切に配分する」とします.

 それでは, 1 ヶ月において,ゲームをする回数を x 購入する漫画本の数を y として定式化してみましょう.このときの満足度 Z は,以下のようにして計算できます.

Z=15 x+15 y

 この満足度 Z を最大にする x y が,ゲームと漫画の最適な配分数となります.一方,遊びに使えるお小遣い[円]と時間[分]は限られているので,それらは以下のように定式化できます.

30x+ 20y 600

 また,ゲームをする回数と購入する漫画本の数は,いずれも正の整数であるため,次のような条件が必要です.

x0

y0

x y は整数

 本来ならば,これらの条件を全て満たす x y を求める必要がありますが,ここでは,取り扱いやすくするため,解を求めるにあたっては,条件として式 のみを考えることにします.

 式 をA君の条件と呼び,これを x y 平面上に図示してみると(1)A君の条件を満たすゲームと漫画の利用量が x y 平面上の領域として表現できることがわかります.

 すなわち,この境界線上を含む領域内のすべての点はA君の条件を満たしているのに対して,領域外の点はA君の条件を満たしていません.実際,領域外の点について確認してみると,例えば,ゲームを 7 回し,漫画本を 16 冊買うものとすると,お小遣いが 円だけ不足することがわかります.同様に,ゲームを 16 回し,漫画本を 7 冊買うものとすると,時間が 分だけ不足することがわかります.

 A君の条件を満たす領域と満足度を表す式 を用いて,ゲームと漫画の最適な配分量を決定することができます.すなわち,(2)A君の条件を満たす領域に対して式 の直線が共有点を持つような Z のうち, Z の値が最大となるときの x y が,ゲームと漫画の最適な配分量になる,ということです.これは, Z の値を 0 から少しずつ大きくしていくことにより,求めることができます.なお,ここで求められた値は式 の条件も満たしていることから,結果として,この問題に対する厳密な解となっていることが確認できます.

 このようにして,A君は, 1 ヶ月あたりのお小遣いと時間を,計画的に使うことができるようになります.

・B君の場合

 同様に,B君も,ゲームと漫画にかかるお金や時間,満足度を分析し,それぞれ定式化してみました.その結果は,A君と同様でした.また,B君が 1 ヶ月あたり遊びに使えるお小遣いと時間も,A君と同様に, 6,000 円と 10 時間( 600 分)です.

 しかし,A君と異なり,B君には家族との約束があることから,B君は. 1 ヶ月において,ゲームを最大でも 8 回までしかプレイすることができません.式 に,この制約を加えたものを,B君の条件と呼びます.A君の場合と同様に,これを x y 平面上に図示してみると,(3)B君の条件を満たすゲームと漫画の利用量が x y 平面上の領域として表現できることがわかります.

 また,満足度についても,B君はA君とは少し違うように考えました.B君は,ゲームは,最初は楽しいのですが,回数を重ねるごとに少しずつ飽きてきて,楽しさが減少していると感じています.そこで,これを満足度の計算に反映させることにしました.

 ゲームについて,最初の 1 回目はA君のときと同じく 15 の満足度が得られるものとします.しかし,B君の場合,回数を重ねるごとに楽しさが減るわけですから, 2 回目以降は得られる満足度が 2 ずつ減少することにします.例えば, 5 回目のゲームにおける個別の満足度は 7 になります.よって,ゲームを 5 回したとすると,その全体の満足度は, 1 回目から 5 回目までに得られる個別の満足度の合計値として,以下のように計算できます.

15+13 +11+9 +7=55

 つまり, x 回目のゲームにおける個別の満足度は であり,ゲームを x 回するときに得られる全体の満足度を x を用いた式で表すと,以下のようになります.

15+13+ + =

 なお,月が変わるとプレイするゲームも変わることから,月が変わって最初の 1 回目のゲームでは,常に初期値である 15 の満足度が得られるものとします.一方,漫画についての満足度はA君と同様なので,ここでの満足度は次のような 2 次式となります.

Z= + 15y

 A君の満足度を表す 1 次式のため直線でしたが,B君の満足度を表す式 2 次式のため放物線となります.しかし,ここでも,先ほどと同様に, Z の値を大きくしていって,(4)B君の条件を満たす領域に対して式 の放物線が共有点を持つような Z のうち, Z の値が最大となるときの x y が,ゲームと漫画の最適な配分量となります.ここで,式 は,B君の条件を満たす領域に接するときに Z の値が最大となります. x y を求めてみると,それらは の条件も満たしていることから,先ほどと同様に,この問題に対する厳密な解となっていることが確認できます.

 このようにして,B君も, 1 ヶ月あたりのお小遣いと時間を,計画的に使うことができるようになりました.

[問1]  にあてはまる式や数値をそれぞれ答えなさい.

[問2] 下線部(1)で示される領域を x y 平面上に図示しなさい.

[問3] 下線部(2)のときの x y Z の値をそれぞれ求めなさい.

[問4] 下線部(3)で示される領域を x y 平面上に図示しなさい.

[問5] 下線部(4)のときの x y z の値をそれぞれ求めなさい.

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易□ 並□ 難□

【2】 次の文を読み,あとの問いに答えなさい.

  xy 平面上に,点 A ( 4,-1 ) B (0 ,1) C ( 3,-2 ) Q ( x-3) 2+ (y- 3) 2=5 がある.

[問1] 点 A C を通る直線の方程式を答えなさい.

[問2] 点 A B C を通る円 R の方程式を答えなさい.

[問3] 円 Q と円 R の共有点を通る直線の方程式と共有点の座標をそれぞれ答えなさい.

[問4] 円 Q と円 R が重なった領域の面積を答えなさい.

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易□ 並□ 難□

【3】 次の文を読み,あとの問いに答えなさい.

 集合 N= {0, 1,2, 3,4, 5,6, 7,8, 9} の,ある部分集合を M とする. M の要素から h 個を重複を許さず選び出し,これらを各桁とするすべての自然数を要素とする集合 P を作る.ただし, 0 は最上位桁にはならないものとする.例えば, M= {0, 2,3 } h=2 のとき, P= {20, 23,32, 30} となる.

[問1]  M= {2, 3,4 } h=3 のとき, P の要素数と P の全要素の総和をそれぞれ答えなさい.

[問2]  M= {n1 ,n2 ,,n k} h= k ただし, k 1k 9 の整数,かつ, M は要素として 0 を含まないものとする.このとき P の要素数と P の全要素の総和をそれぞれ答えなさい.

[問3]  M= {n1 ,n2 ,,n l} h= k ただし, k l は, 1k l9 の整数,かつ M は要素として 0 を含まないものとする.このとき P の要素数と P の全要素の総和をそれぞれ答えなさい.

[問4]  M= {n1 ,n2 ,, nl} h= k ただし, k l は, 1k l9 の整数,かつ, M は要素として必ず 0 を含むものとする.このとき P の要素数と P の全要素の総和をそれぞれ答えなさい.

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易□ 並□ 難□

【4】 次の文を読み,あとの問いに答えなさい.

  f( x)= x2+ ax+ b limx -1 f( x)= limx -2f (x )=0 となるとき, y=f (x ) y=c x+10 で囲まれており,かつ点 (- 32 ,0 ) を含む領域を D とし, D の面積を S とする.

[問1] 定数 a b をそれぞれ答えなさい.

[問2]  c=1 のときの領域 D を図示しなさい.

[問3]  c=1 のときの面積 S を答えなさい.

[問4]  0<c 5 のとき面積 S の最小値と,そのときの c の値をそれぞれ答えなさい.

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