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【1】 次の文章を読み,あとの問いに答えなさい.途中の式等は必要ありません.
A君と君は,遊びにかけるお小遣いと余暇の時間の使い方について,いつも頭を悩ませていました.A君とB君は,主にゲームと漫画のために,お小遣いと余暇の時間を使っています.しかし,無計画にゲームと漫画を楽しんでいては,お小遣いや時間が足りなくなってしまいます.ある月は,お小遣いが余っているのに,時間が足りなくなってしまいました.逆に,ある月は,時間が余っているのに,お小遣いが足りなくなってしまいました.そこで,A君とB君は,ヶ月当たりのお小遣いと時間を,計画的に使って,できるだけ満足度を大きくする方法について,それぞれ考えてみることにしました.
・A君の場合
A君は,まず,ゲームと漫画にかかるお金や時間,満足度を分析し,それぞれ数値化してみました.ゲームはゲームセンターでプレイしますが,そのプレイ代は回円で,回あたり分楽しむことができます.漫画本は冊円で,冊あたり分楽しむことができます.また,ゲーム回と漫画本冊は同程度に楽しいと感じるため,ゲーム回あたりの満足度,漫画本冊あたりの満足度をともにと設定しました.なお,A君がヶ月あたり余暇に使えるお小遣いは円であり,同様に,余暇に使える時間は時間(分)です.
ここで,計画的にお小遣いと時間を使うとは,「最大の満足度が得られるよう,得られたお小遣いと時間を,ゲームと漫画へ適切に配分する」とします.
それでは,ヶ月において,ゲームをする回数を購入する漫画本の数をとして定式化してみましょう.このときの満足度は,以下のようにして計算できます.
この満足度を最大にするとが,ゲームと漫画の最適な配分数となります.一方,遊びに使えるお小遣い[円]と時間[分]は限られているので,それらは以下のように定式化できます.
また,ゲームをする回数と購入する漫画本の数は,いずれも正の整数であるため,次のような条件が必要です.
とは整数
本来ならば,これらの条件を全て満たすとを求める必要がありますが,ここでは,取り扱いやすくするため,解を求めるにあたっては,条件として式のみを考えることにします.
式式をA君の条件と呼び,これを平面上に図示してみると(1)A君の条件を満たすゲームと漫画の利用量が平面上の領域として表現できることがわかります.
すなわち,この境界線上を含む領域内のすべての点はA君の条件を満たしているのに対して,領域外の点はA君の条件を満たしていません.実際,領域外の点について確認してみると,例えば,ゲームを回し,漫画本を冊買うものとすると,お小遣いが円だけ不足することがわかります.同様に,ゲームを回し,漫画本を冊買うものとすると,時間が分だけ不足することがわかります.
A君の条件を満たす領域と満足度を表す式を用いて,ゲームと漫画の最適な配分量を決定することができます.すなわち,(2)A君の条件を満たす領域に対して式の直線が共有点を持つようなのうち,の値が最大となるときのが,ゲームと漫画の最適な配分量になる,ということです.これは,の値をから少しずつ大きくしていくことにより,求めることができます.なお,ここで求められた値は式の条件も満たしていることから,結果として,この問題に対する厳密な解となっていることが確認できます.
このようにして,A君は,ヶ月あたりのお小遣いと時間を,計画的に使うことができるようになります.
・B君の場合
同様に,B君も,ゲームと漫画にかかるお金や時間,満足度を分析し,それぞれ定式化してみました.その結果は,A君と同様でした.また,B君がヶ月あたり遊びに使えるお小遣いと時間も,A君と同様に,円と時間(分)です.
しかし,A君と異なり,B君には家族との約束があることから,B君は.ヶ月において,ゲームを最大でも回までしかプレイすることができません.式式に,この制約を加えたものを,B君の条件と呼びます.A君の場合と同様に,これを平面上に図示してみると,(3)B君の条件を満たすゲームと漫画の利用量が平面上の領域として表現できることがわかります.
また,満足度についても,B君はA君とは少し違うように考えました.B君は,ゲームは,最初は楽しいのですが,回数を重ねるごとに少しずつ飽きてきて,楽しさが減少していると感じています.そこで,これを満足度の計算に反映させることにしました.
ゲームについて,最初の回目はA君のときと同じくの満足度が得られるものとします.しかし,B君の場合,回数を重ねるごとに楽しさが減るわけですから,回目以降は得られる満足度がずつ減少することにします.例えば,回目のゲームにおける個別の満足度はになります.よって,ゲームを回したとすると,その全体の満足度は,回目から回目までに得られる個別の満足度の合計値として,以下のように計算できます.
つまり,回目のゲームにおける個別の満足度はであり,ゲームを回するときに得られる全体の満足度をを用いた式で表すと,以下のようになります.
なお,月が変わるとプレイするゲームも変わることから,月が変わって最初の回目のゲームでは,常に初期値であるの満足度が得られるものとします.一方,漫画についての満足度はA君と同様なので,ここでの満足度は次のような次式となります.
A君の満足度を表すは次式のため直線でしたが,B君の満足度を表す式は次式のため放物線となります.しかし,ここでも,先ほどと同様に,の値を大きくしていって,(4)B君の条件を満たす領域に対して式の放物線が共有点を持つようなのうち,の値が最大となるときのが,ゲームと漫画の最適な配分量となります.ここで,式は,B君の条件を満たす領域に接するときにの値が最大となります.とを求めてみると,それらはの条件も満たしていることから,先ほどと同様に,この問題に対する厳密な解となっていることが確認できます.
このようにして,B君も,ヶ月あたりのお小遣いと時間を,計画的に使うことができるようになりました.
[問1] にあてはまる式や数値をそれぞれ答えなさい.
[問2] 下線部(1)で示される領域を平面上に図示しなさい.
[問3] 下線部(2)のときのの値をそれぞれ求めなさい.
[問4] 下線部(3)で示される領域を平面上に図示しなさい.
[問5] 下線部(4)のときのの値をそれぞれ求めなさい.
集合の,ある部分集合をとする.の要素から個を重複を許さず選び出し,これらを各桁とするすべての自然数を要素とする集合を作る.ただし,は最上位桁にはならないものとする.例えば,のとき,となる.
[問1] のとき,の要素数との全要素の総和をそれぞれ答えなさい.
[問2] ただし,はの整数,かつ,は要素としてを含まないものとする.このときの要素数との全要素の総和をそれぞれ答えなさい.
[問3] ただし,とは,の整数,かつは要素としてを含まないものとする.このときの要素数との全要素の総和をそれぞれ答えなさい.
[問4] ただし,とは,の整数,かつ,は要素として必ずを含むものとする.このときの要素数との全要素の総和をそれぞれ答えなさい.