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ある事柄(以下,事象と呼ぶ)がおこるかおこらないか確実には分からないとった「不確実性」を伴うとき,その事象がおこる確からしさの程度を表現する尺度のつに確率が存在する.この確率については,いくつかの考え方がある.
先験的確率
考えられる場合のつつの生じ方が,同様に確からしいと考えて差し支えないとき,ある事象が生じる確率は,全体の場合の数をその事象の場合の数をとすると,
と与えられる.「同程度に確からしいと考えて差し支えないとき」という仮定がその定義には含まれることになる.
経験的確率
同一の条件の下で,繰り返し実験,観察が可能なときに事象に対する相対度数が,を大きくしたときに一定値に収束するならば,その値をもって事象が生じる確率は
と与えられる.「同一の条件の下で,繰り返し実験,観察が可能なとき」という制約が存在することに注意が必要である.
主観的確率
何回も反復して実験や観察をすることができないような回限りの事象についての確率は,それを問題とする人の個人的な確信の度合いによって決められるほかはない.確信の度合いであることから,その確率は個人の知識や情報を含む経験に依存し,たとえ同じ事象に対しても必ずしも同一になるとは限らない.そこで,いかに合理的にこの「度合い」を与えるかが重要な問題となる.
(1) 以下の(a)から(c)の場合について確率を考えるとき,それぞれ適当と思われる考え方を先験的確率,経験的確率,主観的確率のつの中から選び,その理由を述べよ.
(a) 組のトランプから枚のカードを抜いたとき,それらのカードの絵柄(スペード,ハート,クラブ,ダイヤ)が同一である確率
(b) 天気予報における翌日の降水確率
(c) ある工作機械で製造される部品に不良品が含まれる確率
(2) 「先手必勝」,「残り物には福がある」などの言葉がある.今,本のくじに,当たりくじが本()含まれている状況を考える.人がそれぞれ枚ずつくじを引くとき,くじを引く順番によって有利不利の違いはあるといえるか.当たりくじを引く確率にも基づき説明せよ.
(3) 以下の(ⅰ)から(ⅳ)のルールに基づくゲームを考える.
ルール
(ⅰ) ゲームの主催者によって,いずれかつの当たりくじが含まれるつの引き出しが用意される.
(ⅱ) プレイヤーはつの引き出しからいずれかつを選択する.この段階では,選択した引き出しはまだ開けてはいけない.
(ⅲ) どの引き出しに当たりくじが含まれるかを知っているゲームの主催者は,(ⅱ)でプレイヤーが選択しなかった引き出しのうち,はずれくじが含まれる引き出しつを開けてみせる.
(ⅳ) プレイヤーに引き出しの変更が許される.最初に選んだ引き出しのままでもよいし,(ⅲ)で開けられなかったもうつの引き出しに変更しても良いものとする.
(ⅳ)で最初に運んだ引き出しのままにするか引き出しを変更するかといった相異なるつの判断の合理性について,当たりくじが含まれる引き出しを選択する確率の観点から論ぜよ.