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2014 岩手県立大学 後期数学

ソフトウエア情報学部

易□ 並□ 難□

【1】 次の文章を読み,あとの設問に答えなさい,

 素数探索プロジェクトGIMPS(Great Internet Mersenne Prime Search)は 2013 2 5 日(米国時間),新たな最大素数 2 57885161-1 が発見されたと発表した.GIMPSはインターネットを通じ,参加者のコンピュータの余剰処理能力などを利用して,解析,検証作業などを行い新たなメルセンヌ素数の発見を目指している団体である.この最大素数は,セントラル・ミズーリ大学のカーティス・クーパー教授のコンピュータ上で, 1 25 日に発見されたという.

 ここでメルセンヌ素数について説明する前に,簡単に素数について復習しておこう.

 素数とは 1 と自分自身以外に正の約数を持たない 2 以上の整数のことである.素数でない 2 以上の整数を合成数とよぶ.

  n を自然数としたとき 2n- 1 をメルセンヌ数という.このメルセンヌ数を M n で表すこととする.メルセンヌ数が素数であるときに,これをメルセンヌ素数とよぶ.例えば M 2 はメルセンヌ素数となる.

  M57885161 =257885161 -1 は,現在分かっている中では 48 番目のメルセンヌ素数である.

 メルセンヌ数がもつ性質について紹介する.

性質   n が合成数である M n が合成数である

 この性質は以下のように証明できる.まず,

Mn= k=1 n2 k-1

と表すことができる.つまり,メルセンヌ数は等比数列の部分和の形で表される.一方 n が合成数であることから n =ab (ただし, a b 2 以上 n 未満の整数)の形で表すことができる.これより,

M ab =( 1+2+ 2a -1) +(2 a+2a +1+ +2 2a-1 )+ +(2 (b- 1) a+2 (b- 1) a+1+ +2 ab-1 ) = (1+ 2++ 2a-1 )+ 2a (1+2 ++2 a-1 )+ +2( b-1) a (1+2 ++2 a-1 ) = =(1+2 ++2 a-1 )( 1+2a +22 a+ +2( b-1) a ) = ( k=1 a2 k-1 )( l=1b 2( l-1) a)

ここで, a b はともに 2 以上であることから,

k=1 n2 k-1 2 l=1b 2( l-1) a 2

となるため, Ma b は合成数となることが示された.

[設問1] 等式 を証明しなさい.

[設問2] 今回見つかった最大素数を何冊かのノートに, 10 進数で印刷することを考える. 1 枚の紙に 10000 桁の数字を印刷するとしたときに,最大素数を印刷するためには, 1 冊あたり 100 枚印刷できるノートが,少なくとも何冊必要かを答えなさい.ただし, log10 2= 0.3 として計算しなさい.

[設問3] 本文で述べた性質をもとに,メルセンヌ数 M 15 2 以上 M 15 未満の約数を 4 つ答えなさい.

[設問4] 本文で述べた性質をもとに,「 M n が素数である n は素数である」を証明しなさい.

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易□ 並□ 難□

【2】 次の文章を読み,あとの設問に答えなさい.

 次の漸化式で定義された数列を考える.

{ a0 =0 a1 =1 an+ 2= 2a n+1 +an n 0

[設問1] この数列の要素 a 0 から a 8 までの値を,それぞれ求めなさい.

[設問2] この数列の一般項が a n= (1 +2) n- (1- 2) n2 2 となることを証明しなさい.

[設問3]  xn= ( an+1 ) 2-( an) 2 y n=2 an+1 an とする.このとき, xn y n が連続した整数であることを証明しなさい.

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【3】〜【5】から1題選択

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【3】 次の文章を読み,あとの設問に答えなさい.

  xy 平面上で,点 ( 4,-3 ) から放物線 F 1y =x2 -5x +5 2 本の接線 l1 l2 を引く.接線 l 2 は傾きが負であり,放物線 F 2y =x2 +3x +a にも接するものとする.ただし, a は定数とする.

[設問1] 放物線 F 1 2 本の接線 l1 l2 とで囲まれた図形の面積を答えなさい.

[設問2]  2 つの放物線 F1 F2 と接線 l 2 とで囲まれた図形の面積を答えなさい.

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【3】〜【5】から1題選択

易□ 並□ 難□

【4】 次の文章を読み,あとの設問に答えなさい.

2014年岩手県立大後期【4】2014110610304の図

 実数 x y が,右図のように x2+ y2= 9 を満たすとき, z=2 (x+ y)- 4x y の最大値を最小値を求めることを考える.

[設問1]  t=sin θ+cos θ 0θ< 2π とする.このとき, sinθ cosθ t で表しなさい.

[設問2]  z の最大値と最小値を答えなさい.



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ソフトウエア情報学部

【3】〜【5】から1題選択

易□ 並□ 難□

【5】 次の文章を読み,あとの設問に答えなさい.

 自然数 n の各桁の数字を,一の位から順番に出力する処理を考える.たとえば, n=3142 の場合, 2 4 1 3 の潤で出力する.

 ここで, 2 つの自然数 a b について,

a=q b+r 0 r<b

を満たす整数 q を商,整数 r を余りとし,それぞれ, adivb a modb と表す.すなわち,

q=adiv b r =amodb

である.

 このとき,自然数 n の一の位の数字は, nmod10 で求めることができる.また, n の十の位の数字は, (n div10) mod10 によって得られる.このことを利用すれば,入力された自然数 n の各桁の数字を一の位から順番に出力する処理は,次の手順で実現される.ここで, xc は変数 x への値 c の代入を表す.

 自然数 n の各桁の数字を一の位から順番に出力する手順

Step-1  n を入力
Step-2  r nmod 10
Step-3  r を出力
Step-4  nn div10
Step-5  n=0 が成り立つならば終了し,そうでなければStep-2へ戻る.

[設問1] 本文にあるように,入力された自然数 n の十の位の数字が, (n div10) mod10 によって得られることを,入力する n 4 桁の自然数 n4n 3n2 n1 とした場合について示しなさい.ここで, n4 n3 n2 n1 は,それぞれ千の位,百の位,十の位,一の位の数字を表す.

[設問2] 本文にある「自然数 n の各桁の数字を一の位から順番に出力する手順」をもとに,図1のフローチャートを完成させるために,図中(ア)にあてはまる処理,および(イ)にあてはまる条件を,それぞれ求めなさい.なお,フローチャートの記号の意味は,図2の通りとする.

2014年岩手県立大後期【5】2014110610305の図

図1 フローチャート

記号意味
2014年岩手県立大後期【5】2014110610305の図 端子(開始と終了)
2014年岩手県立大後期【5】2014110610305の図 処理
2014年岩手県立大後期【5】2014110610305の図 判断
2014年岩手県立大後期【5】2014110610305の図 入出力

手順の流れは原則として「上から下へ」進む.



図2 フローチャートの記号

Step 1 2
n 201 201
r 0 1

[設問3] 本文にある「自然数 n の各桁の数字を一の位から順番に出力する手順」において,Step-1で 201 を入力したとき,各Stepの実行が終了した時点での変数 n r の値を,右の表にならって,この手順が終了するまで,順番にすべて答えなさい.

[設問4] 本文にある「自然数 n の各桁の数字を一の位から順番に出力する手順」をもとにして,「自然数 n の桁数を出力する手順」を答えなさい.例えば, 201402 を入力したときは, 6 を出力する.なお,新たな変数を用いてもよい.



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