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【1】[4] 先生と太郎さんと花子さんは,次の問題とその解答について話している.
三人の会話を読んで,下の問いに答えよ.
【問題】
を正の実数とするとき,の最小値を求めよ.
【解答A】
であるから,相加平均と相乗平均の関係により
であるから,相加平均と相乗平均の関係により
である.の両辺は正であるから,
よって,求める最小値はである.
【解答B】
であり,であるから,相加平均と相乗平均の関係により
である.すなわち,
よって,求める最小値はである.
先生「同じ問題なのに,解答Aと解答Bで答えが違っていますね.」
太郎「計算が間違っているのかな.」
花子「いや,どちらも計算は間違えていないみたい.」
太郎「答えが違うということは,どちらかは正しくないということだよね.」
先生「なぜ解答Aと解答Bで違う答えが出てしまったのか,考えてみましょう.」
花子「実際にとに値を代入して調べてみよう.」
太郎「例えばを代入してみると,の値はだからだ.」
花子「のときの値はになった.」
太郎「のときの値はになる.」
(太郎と花子,いろいろな値を代入して計算する)
花子「先生,ひょっとしてということですか.」
先生「そのとおりです.よく気づきましたね.」
花子「正しい最小値はですね.」
(1) に当てはまるものを,次ののうちから一つ選べ.
を満たすの値がない
かつを満たすの値がある
かつを満たすの値がない
かつを満たすの値がある
(2) に当てはまる数を答えよ.
【2】 を定数とする.関数に対し,とおく.このとき,関数の増減からのグラフの概形を考えよう.
(1) は次関数であるとし,のグラフは次の図のように,点を通り,点で軸に接しているとする.
このとき,
である.であるから,を負の定数とするとき,である.
関数はを境に増加から減少に移り,を境に減少から増加に移っている.したがって,関数について,のときであり,のときである.また,の範囲ではである.
については,当てはまるものを,次ののうちから一つずつ選べ.ただし,同じものを繰り返し選んでもよい.
のグラフの概形として最も適当なものを,次ののうちから一つ選べ.
(2) (1)からわかるように,関数の増減からのグラフの概形を考えることができる.
とする.次のはのグラフの概形とのグラフの概形の組である.このうち,の関係と矛盾するものを二つ選べ.
2017 大学入学共通テスト試行調査数学IIB
易□ 並□ 難□
ある薬を服用したとき,有効成分の血液中の濃度(血中濃度)は一定の割合で減少し,時間が経過すると倍になる.薬を錠服用すると,服用直後の血中濃度はだけ増加する.時間で血中濃度がであるとき,血中濃度の変化は右のグラフで表される.適切な効果が得られる血中濃度の最小値を副作用を起こさない血中濃度の最大値をとする.
薬については,である.
(1) 薬について,時間ごとに錠ずつ服用するときの血中濃度の変化は右のグラフのようになる.
を自然数とする.は回目の服用直後の血中濃度である.はと一致すると考えてよい.第回目の服用直前には,血中濃度は第回目の服用直後から時間の経過に応じて減少しており,薬を服用した直後に血中濃度がだけ上昇する.この血中濃度がである.
であるから,数列の初項と漸化式は
となる.
数列の一般項を求めてみよう.
【考え方1】
数列が等比数列となるような定数を求める.に対して,数列が公比の等比数列になることを用いる.
【考え方2】
階差数列をとって考える.数列が公比の等比数列になることを用いる.
いずれの考え方を用いても,一般項を求めることができ,
である.
(2) 薬については,である.薬を時間ごとに錠ずつ服用する場合,回目の服用直前の血中濃度がであることに注意して,正しいものを,次ののうちから二つ選べ.
回目の服用までは血中濃度がを超えないが,回目の服用直後に血中濃度がを超える.
回目の服用までは血中濃度がを超えないが,服用し続けるといつか必ずを超える.
どれだけ継続して服用しても血中濃度がを超えることはない.
回目の服用直後に血中濃度がに達して以降,血中濃度がを下回ることはないので,回目の服用以降は適切な効果が持続する.
回目までは服用直前に血中濃度が未満になるが,回目の服用以降は,血中濃度がを下回ることはないので,適切な効果が持続する.
回目までは服用直前に血中濃度が未満になるが,回目の服用以降は,血中濃度がを下回ることはないので,適切な効果が持続する.
(3) (1)と同じ服用量で,服用間隔の条件のみを時間に変えた場合の血中濃度を調べよう.薬を時間ごとに錠ずつ服用するときの,回目の服用直後の血中濃度をとする.回目の服用直前の血中濃度はである.最初の服用から時間経過後の服用直前の血中濃度であるとを比較する.との比を求めると,
となる.
(4) 薬を時間ごとに錠ずつ服用する場合には,最初の服用直後の血中濃度はとなる.服用量を変化させてもの値は変わらないものとする.
薬を時間ごとに錠ずつ服用した場合と時間ごとに錠ずつ服用した場合の血中濃度を比較すると,最初の服用から時間経過後の各服用直前の血中濃度が等しくなるのは,のときである.したがって,時間ごとに錠ずつ服用する場合の各服用直前の血中濃度を,時間ごとに錠ずつ服用する場合の血中濃度以上とするためにはでなくてはならない.
また,時間ごとの服用量を錠にするとき,正しいものを,次ののうちから一つ選べ.
回目の服用以降,服用直後の血中濃度が常にを超える.
回目の服用直後までの血中濃度は未満だが,回目以降は服用直後の血中濃度が常にを超える.
回目の服用直後までの血中濃度は未満だが,回目以降は服用直後の血中濃度が常にを超える.
どれだけ継続して服用しても血中濃度がを超えることはない.
2017 大学入学共通テスト試行調査数学IIB
易□ 並□ 難□
【4】 四面体について,が成り立つための条件を考えよう.次の問いに答えよ.ただし,とする.
(1) のとき,となる.であることに注意すると,によりである.
(2) 四面体について,となるための必要十分条件を,次ののうちから一つ選べ.
(3) が常に成り立つ四面体を,次ののうちから一つ選べ.
かつであるような四面体
かつであるような四面体
かつであるような四面体
かつであるような四面体
かつであるような四面体
かつであるような四面体
(4) を満たす四面体について,が成り立つことを下のように証明した.
【証明】
線分の中点をとする.
によりである.
また,によりである.
同様に,によりである.
このことからであることに注意すると,によりである.
(ⅰ) に当てはまるものを,次ののうちからそれぞれ一つずつ選べ.ただし,同じものを選んでもよい.
(ⅱ) に当てはまるものを,次ののうちから一つ選べ.
(5) (4)の証明は,のすべての等号が成り立つことを条件として用いているわけではない.このことに注意して,が成り立つ四面体を,次ののうちから一つ選べ.
かつかつであるような四面体
かつかつであるような四面体
かつであるような四面体
かつであるような四面体
2017 大学入学共通テスト試行調査数学IIB
易□ 並□ 難□
ポップコーンの図
図は省略
【5】 ある工場では,内容量がと記載されたポップコーンを製造している.のり子さんが,この工場で製造されたポップコーン袋を購入して調べたところ,内容量はであった.のり子さんは「記載された内容量は誤っているのではないか」と考えた.そこで,のり子さんは,この工場で製造されたポップコーンを袋購入して調べたところ,標本平均は標本の標準偏差はであった.
以下の問題を解答するにあたっては,必要に応じて正規分布表を用いてもよい.
(1) ポップコーン袋の内容量を確率変数で表すこととする.のり子さんの調査の結果をもとに,は平均標準偏差の正規分布に従うものとする.
このとき,が以上以下となる確率はであり,が以下となる確率はである.この以下となる確率は,「コインを枚同時に投げたとき,すべて表が出る確率」に近い確率であり,起こる可能性が非常に低いことがわかる.については,最も適当なものを,次ののうちから一つ選べ.
のり子さんがポップコーンを購入した店では,この工場で製造されたポップコーン袋をテープでまとめて売っている.ポップコーンを入れる袋は袋あたりであることがわかっている.テープでまとめられたポップコーン袋分の重さを確率変数で表すとき,の平均を標準偏差をとおけば,である.ただし,テープの重さはないものとする.
また,標準偏差と確率変数について,正しいものを,次ののうちから一つ選べ.
であり,についてとなる確率は,についてとなる確率と同じである.
であり,についてとなる確率は,についてとなる確率と同じである.
であり,についてとなる確率は,についてとなる確率の倍である.
であり,についてとなる確率は,についてとなる確率と同じである.
であり,についてとなる確率は,についてとなる確率と同じである.
であり,についてとなる確率は,についてとなる確率の倍である.
(2) 次にのり子さんは,内容量がと記載されたポップコーンについて,内容量の母平均の推定を行った.
のり子さんが調べた袋の標本平均標本の標準偏差をもとに考えるとき,小数第位を四捨五入した信頼度(信頼係数)の信頼区間を,次ののうちから一つ選べ.
同じ標本をもとにした信頼度の信頼区間について,正しいものを,次ののうちから一つ選べ.
信頼度の信頼区間と同じ範囲である.
信頼度の信頼区間より狭い範囲になる.
信頼度の信頼区間より広い範囲になる.
母平均に対する信頼度の信頼区間をとするとき,この信頼区間の幅をと定める.
のり子さんは信頼区間の幅をと比べて半分にしたいと考えた.そのための方法は通りある.
一つは,信頼度を変えずに標本の大きさを倍にすることであり,もう一つは,標本の大きさを変えずに信頼度をにすることである.