【3】 ある銀行には窓口がひとつだけあり,その窓口には時からちょうど分おきに人ずつ客が到着する.どの客も確率での手続きを,確率での手続きを行う.の手続きに必要な時間はちょうど分,の手続きに必要な時間はちょうど分である.
それぞれの客の手続きは,それ以前に到着した全ての客の手続きが完了すると同時に開始される.ただし,到着時に前の全ての客の手続きが完了している場合には,到着と同時に手続きが始まるものとする.
以降,窓口に到着した人目の客を客と呼び,ある客が窓口に到着してから手続きが始まるまでの時間をその客の待ち時間と呼ぶ.例えば,客から客が順にの手続きを行ったとき,それぞれの客の到着時刻,手続きの開始・終了時刻,待ち時間は下表の通りとなる.
客 |
到着 |
開始 |
終了 |
待ち時間 |
客 |
到着 |
開始 |
終了 |
待ち時間 |
|
|
|
|
分 |
|
|
|
|
分 |
|
|
|
|
分 |
|
|
|
|
分 |
|
|
|
|
分 |
|
|
|
|
分 |
|
|
|
|
分 |
|
|
|
|
分 |
|
|
|
|
分 |
|
|
|
|
分 |
ここで,客の待ち時間が分となる確率をとおく.
以下の設問において,やが度以上現れる場合には,度目以降はそれぞれ,のように破線で表記することにする.
(ⅰ) 客の手続きは必ず時に始まるため,である.また,客の行う手続きによって客の待ち時間が変わるので,となる.同様に考えて,
となる.
以下,を以上の自然数,を整数としたとき,ならば,
が成り立つことをに関する数学的帰納法で証明する.
(ⅱ) 空欄に当てはまる最も適切な式を下の選択肢から選び,その番号を解答用紙(マークシート)の所定の欄にマークしなさい.
- 1.
- 2.
- 3.
- 4.
- 5.
- 6.
- 7.
- 8.
のとき,であったので,はに対して成り立つ.以降,とし,のときにならばが成り立つと仮定し,のときを考える.
は客が分待った後にの手続きを行う確率と等しいので,
となり,はのとき成り立つ.同様に
となり,はのとき成り立つ.
のとき,は客が分待った後にの手続きを行う確率と,客が分待った後にの手続きを行う確率の和なので,
となる.が奇数のとき,
なので,より
となり,が偶数のとき,
なので,より
となる.したがって,はのとき成り立つ.
(ⅲ) (ⅱ)の文章にならい,空欄(ア)〜(シ)に入る最も適切な式を解答用紙の所定の欄に記述しなさい.
は客が分待った後にの手続きを行う確率と客が待ち時間なくの手続きを行う確率の和なので,
となる.が奇数のとき,より
であるが,一般にを満たす整数に対してが成り立つことに注意すると,より
となる.また,が偶数のとき,
なので,より
となる.したがって,はのとき成り立つ.
以上より,任意の以上の自然数に対してならばが成り立つことが示された.