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2020 東京工業大学 工学院AO総合問題

易□ 並□ 難□

2020年東京工業大工学院AO総合問題【1】2020102670201の図

図1

【1】 実変数 x の十分に滑らかな実関数を f (x) として,方程式 f (x) =0 の解 x* を求めたい. f(x ) x の高次の多項式や複雑な関数を含む場合,解を厳密に得るのは難しく,解の近似値を求める必要がある.その方法として,解 x* に近い初期値 x0 から出発して, f(x ) を直線で近似することにより x* の近似値 x1 を求め,この x1 から出発してまた次の近似値 x2 を求めるという手順を繰り返すことで,解 x* の近似値を求めるニュートン法がよく知られている. n を整数として,以下の問に答えよ.

問1 解の n 番目の近似値 xn から n+ 1 番目の近似値 xn +1 を求めるために,図1に示すように,座標平面上に描いた関数 y=f (x ) のグラフの点 ( xn,f (xn )) における接線を引き,この接線と x 軸の交点の x 座標を新たな近似値 xn+ 1 とする. xn+1 xn を用いて表せ.なお, f(x ) の導関数を f (x ) で表し, f (xn )0 とする.

問2  f(x )=x2 -a2 とする.ここで, a は正の実定数である.このとき,方程式 f (x)= 0 の解が x* =±a であることは明らかだが,初期値 x0 が正の場合について,ニュートン法の手順を検討してみよう.

(A)  n1 について xn a であることを示せ.

(B)  limn xn =a であることを示せ.

(C) 条件を変更して,初期値 x0 が負の場合には limn x n=-a であることを,以上の結果を用いて示せ.

問3 工学的問題では,しばしば与えられた関数の極大点や極小点を近似的に求める必要がある.実変数 x の十分に滑らかな実関数を g (x) として,ニュートン法を用いて g (x) が極値をとる点 x˜ の近似値を求めることを考える.

g(x )= x44 -2x

のときに,初期値 x0 =1 から出発した場合について, g(x ) の極小を与える x˜ の近似値 x2 を小数点以下 2 桁まで求めよ.

問4 さらに,実変数 x y の十分に滑らかな二変数実関数 h (x,y ) を考え,その極小値を与える点 ( x˜ ,y˜ ) の近似値を求めたい.このとき,一変数に対する問3の方法を参考にした,以下の(ⅰ)から(ⅳ)の手順を繰り返す方法が考えられる.

(ⅰ)  (xn ,yn ) を出発点とする.

(ⅱ) まず y の値を yn に固定して定数とみなし, h( x,yn ) x の一変数関数とみなして,その極小点を与える x の値 xn +1 を求める.

(ⅲ) 次に x の値を xn に固定して定数とみなし, h( xn,y ) y の一変数関数とみなして,その極小点を与える y の値 yn +1 を求める.

(ⅳ) これにより求めた ( xn+1 yn+1 ) を次の出発点として(ⅱ)に戻る.

 この方法に関して,初期値を x0 0 y00 として,以下の問に答えよ.

(A) 与えられた関数が h( x,y)= ax2+c y2 の場合には,(ⅰ)から(ⅳ)までの手順を一度だけ実行すれば,上記の方法による計算結果が (x ,y)=( 0,0) の極小点に到達することを示せ.ここで, a c は正の実定数である.

(B) 与えられた関数が h (x,y) =ax2 +bxy +cy2 という形の場合に,上記の方法による ( xn,yn ) の計算結果が n ( 0,0) に収束する b の範囲を求めよ.ここで, a b c は実定数で, a c は正である.



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