【3】 次の定理とその証明を読み,後の問に答えよ.
[定理] を以上の互いに素である自然数とする.このとき,(は以上の整数)の形にかけない自然数全体の集合をとすると,に属する最大の自然数はである.
[証明] まず,であることを背理法によって示す.と仮定すると,となる以上の整数が存在する.このとき
(*)
が成り立つ.右辺はで割り切れるから左辺もで割り切れ,はと互いに素だからはを割り切る.このとき.(ア)であるから,(*)よりとなり矛盾が生じる.したがってである.
次に,を以上の任意の自然数とし,であることを示す.は互いに素だから
をみたす(イ)整数が存在する.をみたす整数をとる.このとき
であるから
(ウ)
が成り立つ.よってだからである.したがって
とおくと,は以上の整数で
が成り立つ.よってである.
以上より定理は示された.
[設問]
(1) (は以上の整数)の形にかける以下の自然数をすべて求めよ.答のみでよい.
(2) 下線部(ア)の理由をわかりやすく説明せよ.
(3) 下線部(イ)においては,一般に次の命題が成り立つという事実が用いられている.
命題 を互いに素である自然数とする.このとき,任意の整数に対して,をみたす整数が存在する.
この命題に関して,次の(a)(b)の問に答えよ.
(a) のとき,をみたす整数が存在することを証明せよ.
(b) のとき,任意の自然数に対してをみたす整数が存在することを証明せよ.
(4) 下線部(ウ)の理由をわかりやすく説明せよ.
(5) をみたす以上の整数を一組求めよ.必要なら
であることを用いてよい.