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2021 滋賀大学 後期データサイエンス学部総合問題

易□ 並□ 難□

【1】  X Y 市に住んでいる高校生の A 君は,夏休みの課題研究のために,経済産業省が実施している電力調査統計月報の結果をもとに,電力需要を調べた.まず,都道府県別の人口(千人)と電力需要(千 kWh )の関係を調べた.表1は,都道府県別の人口と電力需要をまとめたものである.図2は,表1を散布図で表したものである.

 次に, X 県における電力需要を調べた.表3は, X 県の月間電力需要をまとめたものである.さらに, X Y 市における月間平均気温 °C を調べた.表4は, Y 市の月間平均気温をまとめたものである.

 なお,図表中の kWh は,電力需要を表す単位である.千 kWh は, kWh 1000 倍の単位であり,例えば 10 kWh 10,000 kWh と等しい.

 表1と図2を参照して,(1)から(3)の問いに答えよ.表3と表4を参照して,(4)から(7)の問いに答えよ.

(1) 図2の a b は,それぞれどの都道府県を表しているかを答えよ.

(2) 図2の a b では人口の差は小さいのに,電力需要の差は大きい.この理由について,あなたの仮説を 60 字以内で答えよ.

(3) 次の から の文章に関して,図2から読み取れる事柄として,正しいものには◯,誤っているものには×をつけよ.

 人口が 6 番目に多い都道府県の電力需要は, 40,000,000 kWh より多い.

 都道府県別の電力需要の中央値は, 20,000,000 kWh より少ない.

 人口が最も多い都道府県における 1 人あたりの電力需要は, 50,000kWh より多い.

(4)  Y 市の月間平均気温と X 県の月間電力需要の関係を散布図で表したものを,次のア)からエ)の選択肢から 1 つ選べ.

ア)

2021年滋賀大後期データサイエンス学部【1】20211052110301の図

イ)

2021年滋賀大後期データサイエンス学部【1】20211052110301の図

ウ)

2021年滋賀大後期データサイエンス学部【1】20211052110301の図

エ)

2021年滋賀大後期データサイエンス学部【1】20211052110301の図

(5) 夏季( 7 月〜 9 月)における, Y 市の月間平均気温と X 県の月間電力需要の 2 つの変数の相関について,次のア)からウ)の選択肢から正しいものを 1 つ選べ.

ア) 相関係数は正の値である

イ) 相関係数は負の値である

ウ) 相関係数はゼロである

(6) なぜ,夏季( 7 月〜 9 月)における, Y 市の月間平均気温と X 県の月間電力需要の相関は,(5)で答えたような傾向になるのか.この理由について,あなたの仮説を 60 字以内で答えよ.

(7)  2021 年の Y 市の月間平均気温と X 県の月間電力需要の関係が,(4)で選んだ散布図と同じ傾向にあると仮定する.もし, 2021 8 月において, Y 市の月間平均気温が平年よりも 5 °C 高ければ, X 県の月間電力需要は平年と比べてどのようになると予想されるか.次のア)からエ)の選択肢から最も適切なものを 1 つ選べ.

ア) 平年よりも約 25,000 kWh 多い

イ) 平年よりも約 25,000 kWh 少ない

ウ) 平年よりも約 75,000 kWh 多い

エ) 平年よりも約 75,000 kWh 少ない

表1 都道府別人口と電力需要[ 2018 年度]

都道府県名 人口(千人) 電力需要(千kWh)
北海道 5,286 29,071,278
青森県 1,263 8,737,908
岩手県 1,241 8,481,045
宮城県 2,316 14,250,147
秋田県 981 17,322,507
山形県 1,090 8,107,874
福島県 1,864 15,303,264
茨城県 2,877 24,919,481
栃木県 1,946 16,737,897
群馬県 1,952 16,288,410
埼玉県 7,330 38,369,901
千葉県 6,255 36,263,620
東京都 13,822 78,199,667
神奈川県 9,177 48,057,333
新潟県 2,246 16,922,676
富山県 1,050 11,097,957
石川県 1,143 9,529,620
福井県 774 8,185,335
山梨県 817 5,945,400
長野県 2,063 15,249,002
岐阜県 1,997 15,201,744
静岡県 3,659 29,603,003
愛知県 7,537 60,101,338
三重県 1,791 19,895,531
滋賀県 1,412 12,791,617
京都府 2,591 15,577,875
大阪府 8,813 57,236,661
兵庫県 5,484 37,748,367
奈良県 1,339 6,757,744
和歌山県 935 6,264,116
鳥取県 560 3,666,720
島根果 680 5,370,636
岡山県 1,898 16,315,200
広島県 2,817 19,726,975
山口県 1,370 12,315,933
德島県 736 6,137,284
香川県 962 7,543,486
愛媛県 1,352 8,701,628
高知県 706 4,144,156
福岡県 5,107 31,092,477
佐賀県 819 6,651,333
長崎県 1,341 7,756,023
熊本県 1,757 11,534,574
大分県 1,144 8,835,635
宮崎県 1,081 7,052,403
鹿児島県 1,614 9,867,477
沖縄県 1,448 7,627,920
合計 126,443 852,560,167

資料:人口は,e-Statの人口推計( 2018 10 1 日時点)を引用

電力需要は,電力調查統計月報 都道府県別電力需要業績( 2018 4 月〜 2019 3 月の合計値)を引用

2021年滋賀大後期データサイエンス学部総合問題【1】2021105210301の図

図2 都道府県別の人口と電力需要の散布図[ 2018 年度]

資料:人口は,e-Statの人口推計( 2018 10 1 日時点)を引用

電力需要は,電力調査統計月報の都道府県別電力需要実績( 2018 4 月〜 2019 3 月の合計値)を引用

表3  X 県の月間電力需要(千 kWh

  2017 2018 2019
1 1,189,925 1,237,380 1,182,116
2 1,179,539 1,179,066 1,121,425
3 1,178,711 1,111,425 1,124,264
4 1,102,686 1,035,406 1,060,963
5 1,019,625 975,339 1,024,467
6 1,018,502 985,840 996,223
7 1,154,003 1,121,608 1,084,092
8 1,181,615 1,205,436 1,173,656
9 1,103,352 1,075,809 1,129,687
10 1,015,781 983,727 1,025,113
11 1,039,005 976,369 996,244
12 1,120,546 1,037,310 1,029,932

資料:月間電力需要は,電力調査統計月報の都道府県別電力需要実績( 2017 1 月〜 2019 12 月)を引用

表4  Y 市の月間平均気温( °C

  2017 2018 2019
1 3.9 3.3 4.5
2 3.8 3.3 5.8
3 7.0 8.8 8.2
4 13.1 14.2 11.9
5 19.0 18.0 18.5
6 21.0 22.2 22.1
7 27.4 28.5 25.3
8 27.6 28.5 28.4
9 22.7 22.8 25.4
10 17.2 17.9 19.4
11 10.4 12.8 12.5
12 5.0 7.6 7.7

資料:月間平均気温は,気象庁の Y 地点における日平均気温の月平均値を引用

2021 滋賀大学 後期データサイエンス学部総合問題

易□ 並□ 難□

【2】 ある企業では,完成した製品を出荷する前に,異常があるかないかを検査している.検査により異常ありと判定された製品は出荷されず,廃棄される.

 検査方法にはいくつかの種類があるが,いずれの検査方法にも間違いはある.具体的には,実際には異常がないにもかかわらず異常があると判定する間違いや,実際には異常があるにもかかわらず異常がないと判定する間違いがある.検査方法を比較するうえで,次の指標が用いられる.

正解率:すべての製品数のうち,異常あり・なしと正しく判定された製品数の割合

感度:実際は異常ありの製品数のうち,異常ありと正しく判定された製品数の割合

特異度;実際は異常なしの製品数のうち,異常なしと正しく判定された製品数の割合

 この企業では,現在検査法 A を用いているが,新たに開発された検査法 B を導入するかどうかを検討したい.そのために,異常のあり・なしが判明している 100 個の製品に対して検査法 A 検査法 B で検査を行った.検査法 A 検査法 B を用いて得られた結果を,それぞれ表1,表2に示す.検査法 A の正解率は 41/ 50 感度は 7/10 特異度は 5/6 であった.このとき,次の問いに答えよ.

(1) 表2から,検査法 B の正解率,感度,特異度を求めよ.

(2) 表1の(ア)から(エ)に当てはまる数値を求めよ.

(3) この企業としては,異常な製品を誤って出荷することを可能な限り避けたい.このとき,検査法 A と検査法 B のどちらを用いるのが良いか.「正解率」「感度」「特異度」のうちいずれか 1 つの語句を用いて,理由を含めて 60 字以内で述べよ.

(4) 実際に異常があるかどうかによらず,検査により異常ありと判定されて,廃棄されることによる損失額は,製品 1 個あたり 5,000 円とする.一方で,実際には異常ありの製品を誤って出荷することによる損失額は,製品 1 個あたり 50,000 円とする.先の 100 個の製品について,次の から のそれぞれの場合における損失額を求めよ.

 検査法 A を用いた場合

 検査法 B を用いた場合

 検査を全く行わなかった場合

(5) 異常の有無が判明している別の 100 個の製品に対して,検査法 B で検査を行った.その結果,正解率,感度,特異度はいずれも(1)で求めた値と同じになった.異常ありの製品数を x 個と表したときの損失額を, x を用いて表せ.ただし,製品 1 個あたりの損失額は(4)と同等とする.

(6) (5)において,異常ありの製品数が何個よりも多ければ,検査を全く行わない場合よりも,検査法 B を用いた場合の損失額の方が小さくなるか.途中式も含めて答えよ.

表1:検査法 A の結果

  実際の状態
  異常あり 異常なし
検査結果 異常あり (ア) (イ)
異常なし (ウ) (エ)

表2:検査法 B の結果

  実際の状態
  異常あり 異常なし
検査結果 異常あり 8 20
異常なし 2 70
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