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2012 慶応義塾大学 商学部

2月18日実施

易□ 並□ 難□

【1】

(ⅰ)  A の袋には赤玉 1 個と黒玉 15 個, B の袋には黒玉 16 個が入っている.それぞれの袋から 1 個ずつ玉を取り出して交換する,という試行を n 回繰返したとき,赤玉が A の袋に入っている確率を p n とする.ただし, n は自然数である.例えば,

p1= (1) (2) (3) (4) p2 = (5) (6) (7) (8) (9) (10)

である. pn+ 1 p n で表すと, pn+ 1= (11) (12) p n+ (13) (14) (15) となるので,これより

pn= (16) (17) { 1+ ( (18) (19) ) n}

と求まる.

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2月18日実施

易□ 並□ 難□

【1】

(ⅱ) 赤玉 7 個,白玉 10 個,青玉 n 個が入った袋から,同時に 4 個の玉を取り出すとき,それらが赤玉 1 個,白玉 2 個,青玉 1 個である確率を q n とする.ただし, n は自然数である. q n+1 qn n の式で表すと,

q n+1 qn = n2+ (20) (21) n+ (22) (23) n2+ (24) (25) n

となる.これより n (26) の範囲で q n<q n+1 が成り立ち,また, n (27) の範囲で qn> qn+ 1 が成り立つことがわかる.従って, qn n = (28) で最大値 (29) (30) (31) (32) (33) をとる.

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2月18日実施

易□ 並□ 難□

【2】  O を原点とする座標空間において, 4

A1 (1 ,1,1 ) B 1( -1,- 1,1 ) C 1( 1,-1 ,-1 ) D1 (- 1,1, -1)

を考えると,立体 A 1B 1C 1D 1 は正四面体である.このとき,以下の設問に答えよ.

(ⅰ) 正四面体 A 1B 1C 1D 1 xy 平面に平行な平面 z= -1+h 0 h2 で切ったときに出来る図形の面積を S (h ) とすると,

S( h)= - (34) h2+ (35) h

と表され, S( h) h= (36) のとき最大値 (37) をとる.(このときの図形はペトリー多角形と呼ばれている.)さらに,

V1= 02 S( h) dh= (38) (39)

とおくと, V1 は正四面体 A 1B 1C 1D 1 の体積となっている.

(ⅱ) 三角形 B 1C 1D 1 三角形 C 1D 1A 1 三角形 D 1A 1B 1 三角形 A 1B 1C 1 の重心をそれぞれ A 2 B 2 C 2 D 2 とする.このとき,立体 A2 B2 C2 D2 は再び,正四面体となる.(このことを,正四面体は自己双対であるという.)同様に, n を自然数として,三角形 Bn Cn D n 三角形 Cn Dn A n 三角形 Dn An B n 三角形 An Bn C n の重心をそれぞれ An +1 B n+1 C n+1 D n+1 とする.このとき,

O A1 + O A2 + + OA n = (40) (41) { 1- (- (42) (43) ) n} O A1

である.

 また,正四面体 A nB nC nD n の表面積 S n と体積 V n は,それぞれ,

Sn= (44) (45) - (46) n+ (47) 2 Vn= (48) (49) - (50) n+ (51)

である.

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2月18日実施

易□ 並□ 難□

【3】 企業 X と企業 Y が,互いに競合する商品を販売しようとしている.両社は,販売する商品の特性を,ある程度の範囲の中から選ぶ事が可能である.また,消費者の好みもさまざまである.この状況での企業の戦略決定を,次のモデルで考えてみよう.

 企業 X が販売する商品の特性を x 企業 Y が販売する商品の特性を y 消費者の好みを t で表す.ただし,それぞれのとり得る値の範囲は,

0x 1 0y 1 0t 1

とする.企業 X Y は,まず,特性 x y をそれぞれ決めるものとする.その結果は公表され,各企業は相手の企業が決めた特性も知るものとする.以下, x<y の場合に限定して考察する.第 2 段階として,企業 X は販売する商品の 1 個あたりの販売価格 p (円)を決め,同様に企業 Y q (円)を決める.ただし,販売価格のとり得る値の範囲は, p>0 q>0 とする.一方,好み t を持つ消費者は,自分の好みと商品の特性および販売価格を考え合わせて,次のように商品を選択して購入するものとする.この消費者にとっての企業 X の商品の価値 V X と企業 Y の商品の価値 V Y が, U c を正の定数として,

VX =U-p -c (t -x) 2 VY =U-q -c (t- y)2

で定まるものとし,消費者は,自分にとっての価値が大きい方の商品を選択するものとする.問題の複雑化を避けるため,もし価値が等しければ,企業 X の商品を選択するものとする.また,いずれの場合でも,消費者は,選択した商品を必ず購入するものとする.

 以下の設問において,太線の四角による表示のある問い,例えば (52) (53) など,に対しては x y p q c のいずれかの文字が入る. x を入れる場合は 1 y ならば 2 p ならば 3 q ならば 4 c ならば 5 と解答しなさい.

(ⅰ) 消費者の選択に関する仮定から実数 t が定まり,好み t を持つ消費者は, tt であれば企業 X の商品を選び, t>t であれば企業 Y の商品を選ぶことがわかる. t の値を x y p q c を用いて表すと,

(52) + (53) (54) + 1 (55) (56) (57) - (58) (59) - (60)

となる.

(ⅱ) 次に,企業の売上高に相当する値を定める.はじめに記したように,消費者の好みはさまざまであり,その好みが 0 1 の間に分布していると考えている.その分布の仕方を特定すれば,各消費者の選択を集約することにより,各企業の売上高を定めることができる.ここでは,企業 X の売上高に相当する評価値 T X と,企業 Y の売上高に相当する評価値 T Y を,

TX =pt TY =q (1- t )

と定め,これらの評価値を最大化する問題に置き換えて考える(ただし, t は(ⅰ)で求めたものである).もう少し詳しく記すと,第 2 段階における, x<y であることを前提とした価格設定がどのようになるかをまず調べ,その決定の仕方を考慮に入れて,評価値が最大になる商品の特性を求める,という問題をいくつかのステップに分けて考える.

 まず, TX p の関数と考える.ここで, TX p の関数と考えるということは, TX の式の中に含まれる p 以外の文字,すなわち x y q c はすべて定数と考える,ということである.この点に注意して, TX が最大値をとる p の値を x y q c を用いて表すと,

(61) (62) + (63) ( (64) + (65) ) ( (66) - (67) ) (68)

となる.

(ⅲ) 同様にして, TY q の関数と考え, TY が最大値をとる q の値を x y p c を用いて表すことができる.(ⅱ)の結果と合わせると, p q についての連立 1 次方程式が得られる.この連立方程式の解を p q とすると, p=p q= q において, TX p の関数として最大値をとり,同時に, TY q の関数として最大値をとることがわかる. p の値を x y c を用いて表すと,

(69) (70) ( (71) - (72) ) ( (73) + (74) + (75) )

となり, p q に対する t の値は,

(76) (77) + (78) + (79) (80)

と表される.

(ⅳ) 最後に,各企業の価格決定が今求めた p q になることを前提として,企業 X は商品の特性 x を以下のように決定する.まず, p=p q =q として, TX x の関数と考える.次に,この関数 TX =f (x ) が最大値をとる x の値を求める.その値を x とする.ここで,関数 TX =f( x) のグラフの概形を解答用紙 B の座標平面に描きなさい.ただし,関数の極値および極値をとる x の値を明記する必要はありません.

(ⅴ) 企業 Y もまったく同様にして, p=p q= q とし, TY y の関数と考えて,その関数が最大値をとる y の値を求める.その値を y とする. x y が決まれば,それらに対する p q も確定する.これらの値の組は当たられた仮定を満たし,企業 X Y にとって,お互いに最適な戦略決定になっている.最終的に求められた x y p q t それぞれの値を c を用いて表し,解答用紙 B の解答欄にある所定の位置に答えのみ記入しなさい.

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