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自然数とは以上の整数のことである.また素数とは,と自分自身以外の約数をもたない以上の自然数のことである.
個以上の要素をもつ自然数の集合が次の性質をもつとき,それを集合と呼ぶことにする.
その集合の中からどんな個の要素を選んでも,その個の要素の和が素数となる.
ここで集合のは個の和を考えていることを意味し,は素数(Prime number)を意味する.
このような集合が存在するのかどうか,という問題を考えてみる.
要素の個数がの集合は存在する.例えばという集合がそうである.は素数だからである.要素の個数がのときは,その集合が集合であるとは,単にすべての要素の和が素数になる,ということである.
要素の個数がの集合も存在する.例えば,という集合がそうである.この中から個の要素を選び出す方法は,の通りあるが,それら個の数の和は順にであり,すべて素数になっている.
要素の個数がの集合はこれ以外にも,
など,いろいろある.数が大きなものでは,
などのように,それが集合であるのかどうかを判定するのにコンピュータを必要とするものもある.
さて次に,「要素の個数がの集合はあるか?」ということが問題となるが,結論から言えば,要素の個数がの集合は存在しないのである.以下では,それを証明してみよう.
そのために,まず自然数を次のように分類する.
定義:自然数は,で割ったときの余りがのとき「タイプ」と呼ぶことにする.
で割ったときの余りはの通りのどれかなので,どんな自然数も,タイプタイプタイプのどれかである.例えば,はタイプであり,はタイプであり,はタイプである.
自然数がタイプならば,はで割ると余りがなので,と書ける.ここではをで割った商である.
このようにタイプに分けることにより,次のことがわかる.
命題:を相異なる個の自然数の集合とする.の中の,ある個の要素が同じタイプならば,は集合ではない.
証明:の中の,ある個の要素がすべてタイプならば,と書けている.ここで,はそれぞれをで割った商である.
<証明終り>
この命題を使うと,求める定理を証明することができる.
定理:相異なる個の自然数の集合は集合ではない.
証明:背理法で証明する.相異なる個の自然数の集合で集合であるものが存在すると仮定すると矛盾が生じる,ということを示せば良い.
を相異なる個の自然数の集合で集合であるものとする.
もしの中に個の同じタイプの数があれば,上の命題から,は集合ではないことになり,は集合であるという仮定に反する.従って,の中には,同じタイプの数は最大個しかない.
このことから,の中には,タイプタイプタイプのどのタイプの要素も少なくとも個はある,ということがわかる.
そこで,であるとして,はタイプはタイプはタイプとしよう.
と書ける.ここで,はそれぞれをで割った商である.
<証明終り>
問1:命題の証明の最後の部分を完成させよ.
問2:定理の証明の中の下線部分にの中には,タイプタイプタイプのどのタイプの要素も少なくとも個はあると書かれているが,なぜそうなのか理由を述べよ.
問3:定理の証明の最後の部分を完成させよ.