【4】 以下の各問に答えよ.
(1) でないつの次元ベクトルに対して,内積をで定義する.ただしは二つのベクトルのなす角で,とする.また,どちらかがのときはと定める.このとき,
が成り立つことを示せ.
(2) 次元ベクトルがであるとき,(1)で定義された内積は
を満たすことを示せ.
(3) 以上の整数に対し,次元ベクトルをと定義する.ただしは実数とする.また,設問(1)とは異なり,これとベクトルとの内積を
で定義する.ただしも実数とする.さらに,ベクトルの大きさを
により定義する.このとき,以上のすべての整数について,
を満たすが存在することが以下のように証明できる.この証明を読み,後の設問(3−1)〜(3−4)に答えよ.
【証明】 の少なくとも一方がのとき,が存在することは明らかである. (ⅰ) それ以外の場合,不等式
を証明すればよい.(ⅱ)
以下,に関する数学的帰納法で証明する.のときは,この不等式は成り立つ. (ⅲ)
次に,のときに成り立つと仮定した場合,
が成り立つ.ここで,のときの結果から
が成り立つ.(ⅳ)
この不等式の右辺はに他ならないから,(ⅱ)の不等式はのときも成り立つ.よって,数学的帰納法により,以上のすべてのに対して,(ⅱ)の不等式が成り立つ.
設問
(3−1) (ⅰ)の理由を説明せよ.
(3−2) (ⅱ)の理由を説明せよ.
(3−3) (ⅲ)の理由を説明せよ.
(3−4) (ⅳ)においては,の場合の結果をどのように用いたのか,具体的に説明せよ.