【4】 以下の文を読み,その中にある問に答えよ.
以上の整数が平方数であるとは,以上のある整数があってとなることである.つまり,以上のある整数の乗となっている,ということである.例えば,はとなるので平方数である.以下の平方数はこれらに限る.
自然数はからまでの数字を並べて表現できるが,それらの数字を右から「桁目」,「桁目」,「桁目」などと呼ぶことにしよう.たとえば,という自然数では,桁目が桁目が桁目が桁目がとなる.
自然数を考える.ここではの桁目の数でありからの数字のどれかである.ただし,このように書いたときには,最高桁の数はではないとする.というのは,例えば,という自然数をとは書かないからである.
のとき,の桁目から桁目までのすべての数の積をの積と呼び,という記号で表すことにする.のときは積は単に桁目の数である.
例えば,のとき,の積はである.積はである.また,積はである.
さて,を桁の自然数とする.桁目の数をとすると,
と書ける.はとなる整数だが,はではないとする.
一般に,桁の自然数について,次の定理が成り立つ.
定理:を桁の自然数とすると,連続したいくつかの桁の数の積で,平方数となるののが必ず存在する.
言いかえると,のある積で平方数となるものが必ず存在する.
例えば,
という桁の自然数を考える.ここでは見やすくするために,桁ごとにコンマを入れてある.
はそれ自体が平方数なので,これらがつでもあれば,定理の主張が成立していることになる.例えば上の桁の数の場合,などは平方数である.
そこで,これらの数を含まない次の桁の数を見てみよう.
ここでは,であり平方数である.つまり,同じ数が連続していれば,定理の主張は成立することになる.同じ数がつ連続していない次のような数を考えてみよう.
この数に対しては,
は平方数である.また,
は平方数である.さらに,
もまた平方数である.
定理が主張することは,どんな桁の数であっても,平方数となるようなある積が必ず存在する,ということであり,以下ではそれを証明する.
を桁の数とする.各桁の数の中につでものどれかがあれば,それ自体が平方数なので,定理の主張は成立する.そこでそれ以外の場合について考えよう.それ以外の場合とは,の各桁の数はすべてのどれかである,ということである.各桁の素因数はという個の素数のどれかなので,のどんな積をとっても,これらの素数の積になる.
となるに対して,
とおく.つまり,はからまでの数をすべてかけたものである.の素因数ものどれかなので,
の形に素因数分解される.ここで,は以上の整数である.
の指数に注目してみよう.各は偶数であるか奇数であるかのどちらかである.なおは偶数である.が偶数であるか奇数であるかに応じて,「偶」と「奇」を並べたパターンが得られる.例えば,がならば,これらに対する偶奇のパターンはとなる.このパターンは全部で通りある.
一般にが以上の偶数のとき,は平方数となる.
問1:が以上の偶数のとき,なぜが平方数となるのか,その理由を説明せよ.
このことから,あるでのすべてが偶数ならば,は平方数となる.従って,この場合には定理の主張が成り立つことになる.
そこで,それ以外の場合を考えよう.すなわち,すべてのについて,は「すべてが偶数」以外のパターンであるとする.「すべてが偶数」以外のパターンは全部で通りである.はからまで全部で個あるので,この中には全く同じ偶奇のパターンをもつつの数が必ず存在することになる.そのようなつの数をとしよう.ここでとする(に注意).
であるので,の素因数分解はやはりの形をしている.
問2:なぜであるのか,その理由を説明せよ.
の指数はすべて以上の偶数なので,は平方数である.連続した桁の数の積で平方数となるものが必ず存在することが示されたので,定義が証明された.
問3:なぜの指数はすべて以上の偶数なのか,その理由を説明せよ.