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2017 東北大学 AOⅢ期医学部

医学科小論文

配点45点

易□ 並□ 難□

【1】 質調整生存率に関する講義と講義資料をもとに問題に答えよ.

 架空の国( Q 国と R 国)および疾患( G ウイルス感染症)を用いて,下記モデルを設定します.

  Q 国には, 50 歳になると感染する可能性のある G ウイルス感染症という病気があります. Q 国と G ウイルスには以下の特徴があります.

G ウイルスに感染して起こる「 G ウイルス感染症」以外の病気は存在しません.

50 歳になると 1 年間あたり 10 人に 3 人の確率で G ウイルス感染症になります.

Q 国の健康な 50 歳以上の人は, G ウイルス感染症にならなくても, 1 年間あたり 30 人に 1 人の確率で死亡します.

G ウイルス感染症には有効な治療法が見つかっていないため,一度 G ウイルス感染症になると治りません.

G ウイルス感染症の人は, 1 年間あたり 2 人に 1 人の確率で死亡します.

G ウイルス感染症の効用値は 0.5 とします.

 以下の設問では,ある年( Q 国暦 0 年とします)の, 50 歳の健康者のみに着目します.

 以下の問いに答えなさい.

  Q 国暦 k 年の健康者の数を H k G ウイルス感染者の数を Gk 既に死亡した人の数を D k と表記することにします.

 解答には,考え方と計算過程も示しなさい.

問題1  Q 国暦 0 年に健康な状態だった P 人について,以下の問題に答えなさい.

1. 健康, G ウイルス感染症,死亡,の 3 状態に関する状態遷移図を書きなさい.

2.  Q 国暦 n 年に健康なままでいる人数を n P を用いて式で示しなさい.

3.  Q 国暦 n 年に G ウイルス感染症になった状態で生存している人数を n P を用いた式で示しなさい.

 さらに,上記計算をもとに P 1 万人としたときの Q 国暦 3 年での生存者数を求めなさい.ただし,小数点第一位を四捨五入して整数で表しなさい.

問題2 時代が経過し,年号が替わり新 Q 国暦 0 年になりました.この年に, 1 回の摂取で G ウイルス感染症を完全に予防するワクチン( G ワクチン)が開発されました.新 Q 国暦 0 年の Q 国の 50 歳の健康者 1 万人について改めて考えます.

 なお,ワクチンの開発製造費用をワクチン接種のための総費用とみなします.

 計算に際しては,

( 29/30 )28 =0.39 ( 29/30) 29= 0.37 ( 29/30) 30=0.36

( 29/30) 31=0.35 ( 29/30) 32=0.34

と近似して良いものとします.

 また, m28 のとき, (2 /3) m=0 (1 /2) m=0 と近似して良いものとします.

1.  G ワクチンを新 Q 国暦 0 年に全員に予防接種した場合の, n 年後の生存者数を求めなさい.また,新 Q 国暦 29 12 31 日までの 30 年間のこの集団の QALY を求めなさい.

2. ワクチンを接種しなかった場合の,新 Q 国暦 29 12 31 日までの 30 年間のこの集団の QALY を求めなさい.さらに,ワクチンを接種した場合の QALY は,ワクチンがなかった場合と比較して,どれだけ増加するかを示しなさい.

3.  30 年間の費用対効果を計算すると 100,000 (円/QALY でした.ワクチンの開発製造費用を求めなさい.

問題3  R 国には G ワクチンを予防接種すると Q 国と同じ効果が出る体質の人が 50 % 予防接種をしても全く効果が出ない体質の人( G ワクチン無効体質)が 50 % います.その他の特徴は Q 国と同じです.

 以下の設問では, R 国に住む 50 歳の健康者 1 万人に着目します.

  G ワクチンを全員に接種しました.ワクチン接種のための総費用は Q 国と同額とします.

1.  1 QALY を増加させるための費用は Q 国に比べて何倍になりますか.その理由も示しなさい.

2.  R 国の G ワクチンの費用対効果を改善するには,どのような医療技術を開発すればよいでしょうか. 3 通り考えて説明しなさい.

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