2017 東京工業大学 第4類AO総合問題MathJax

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2017 東京工業大学 第4類AO総合問題

易□ 並□ 難□

【1】 数列 x k k=1 2 n の各項は - 1 0 1 のいずれかの値から選ばれるものとする.この数列 x k k=1 2 n を用いて,数列 a k k=1 2 n を以下のように定めるものとする.

  x1 の値が選ばれたとき, a0 =2 に対して, a1 a 1=a 0+x 1 で定まる.これをステップ 1 と呼ぶ.つぎに x 2 の値が選ばれたとき,ステップ 1 で定まった a 1 に対して, a2 a2= a1+ x2 で定まる.これをステップ 2 と呼ぶ.このルールを繰り返し,任意のステップ k k=1 2 n に対して, xk の値が選ばれたとき, ak は漸化式 ak= ak-1 +x k に従って定まるものとする.

 このとき,つぎの関数 f ( x1, x2, ,x n) を最小にする数列 x k k=1 2 n を求めることを考える.

f( x1, x2, ,x n)= k=1 n( ak2 +xk 2)

問1 ステップ n での a n を, xk k=1 2 n を用いて表せ.

問2  an が取り得る最小値と最大値を, n を用いて表せ.

問3  n=2 とするとき,つぎの関数 f ( x1, x2 ) を最小にする x1 x 2 の組み合わせをすべて求めよ.

f( x1, x2 )= k =12 ( ak 2+ xk2 )

 ステップ n までの数列 x k k=1 2 n は,全部で 3 n 通りあるため, n が大きくなると,この関数 f を最小にする数列 x k k=1 2 n を見つける際の計算の量は膨大になる.そこで,以下では,効率よく解く方法を考える.

 ステップ i -1 a i-1 が定まったとし,ステップ i からステップ n までの数列 xk ak k=i i+ 1 n を考える.このとき,つぎの関数 gi (a i-1 ,x i,x i+1 , ,xn ) を定義する.

gi ( ai-1 ,x i,x i+1 ,, xn) = k= in (a k2+ xk2 )

この関数 g i を最小にする数列 x k k=i i+1 n を数列 xk* k=i i+1 n とし,関数 g i の最小値を gi* (a i-1 ) とする.すなわち,

gi* ( ai-1 )= gi (a i-1 ,xi *,x i+1 *, ,xn *)= minx k( k=i, i+1, ,n ) gi (a i-1 ,xi ,xi +1 ,,a n)

とする.上式の右辺の min は,関数 g i( ai- 1, xi, xi+1 , ,xn ) を数列 x k k=i i+ 1 n に関して最小にした際の関数 g i の最小値を意味している.このとき,以下の問いに答えよ.

問4  n=2 とするとき,つぎの関係式が成り立つ.

g1 *( a0 )= minx1 { a12 +x1 2+ g2* ( a1) }

この関係式を証明せよ.

問5 問4の関係式を任意の n の場合に一般化すると, gi *( ai- 1 ) gi+1 * (a i) に対して,つぎの関係式が成り立つ.

gi *( ai- 1) =minx i{ ai2 +xi 2+g i+1 *( ai) } i=1 2 n- 1

この関係式の意味を簡単に説明せよ.

問6  n=3 とするとき,問5の関係式を用いて,関数 f ( x1, x2, x3 ) を最小にする x1 x 2 x3 を求めたい.このとき,関数 f ( x1, x2, x3 ) が関数 g1 (a 0,x 1,x 2,x 3) (ただし, a0 =2 )と書けることに注意して,つぎの手順で求めよ.

6-1 まず, a2 が取り得る値 4 3 2 1 0 のおのおのに対して, g3 *( a1 ) を計算し,表1-1を完成せよ.同様に, a1 が取り得る値 3 2 1 に対して,問5の関係式を用いて g2* (a 1) を計算し,表1-2を完成せよ.ここで,表1-1の x3* a3* は,それぞれ, a2 の値が与えられたもとでの関数 g3 (a 2,x 3) を最小にする x 3 の値,および,それを用いた際の a 3 の値を表す.表1-2で使われている記号も同様とする.

  • 表1-1

    a2 x3* a3* g3* ( a2 )
    4      
    3      
    2      
    1      
         
    0      
  • 表1-2

    a1 x2* a2* g2* ( a1)
    3      
    2      
    1      

6-2 作成した表1-1,表1-2を用いて,関数 g1 (a 1,x 1,x 2,x 3) を最小にする x1 x 2 x3 をすべて求めよ.その際,表1-1,表1-2をどのように用いたかを説明せよ.

問7 問6において g1 (a 0,x 1,x 2,x 3) の最小値を x1 x 2 x3 に対して総当たりで求めるには, 27 通りの組み合わせを調べればよい.一方,問5の関係式を用いると,問6の表1-1の g3* ( a2 ) (ただし, a2 =4 3 2 1 0 )をすべて求めるのに 15 通りの組み合わせを,表1-2の g2* ( a1 ) (ただし, a1 =3 2 1 )をすべて求めるのに 9 通りの組み合わせを,そして, g1 ( a0, x1, x2, x3 ) を求めるのに, x1 に対して 3 通りの組み合わせを,すなわち,全部で 27 通りの組み合わせを調べればよい.このように n =3 の場合は,どちらの場合でも同じ組み合わせ数を調べることになるが, n4 の場合には,問5の関係式を用いると,総当たりで求める場合に比べて,調べる組み合わせ数が n が大きくなるにつれて格段に減る.この調べる組み合わせ数を, n を用いて表せ.

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