2019　広島大学　AO情報科学部小論文

【１】　情報科学に関する基礎学力，論理的思考力と分析力をみる小論文の問題である．このことに留意し，以下の問いに答えよ．

(A)　$a$を正の整数とする．さらに，

$S_n={\displaystyle \sum _{k=1}^n}{k}^2$

とおく．

(1)　次の等式を示せ．

$S_n={\displaystyle \frac{n(n+1)(2n+1)}{6}}$

(2)　次の不等式を示せ．

$0<|{\displaystyle \frac{S_n}{n^3}}-{\displaystyle \frac{1}{3}}|\leqq {\displaystyle \frac{2}{3n}}$

(B)　$n$を$2$以上の整数とする．箱の中に，$1$から$n$までの番号が書かれたカードがそれぞれ$1$枚ずつ，合計$n$枚入っている．この箱から$1$枚のカードを無作為に取り出す試行を$k$$\text{（}k=1\text{，}$$2\text{，}$$\cdots \text{，}$$n\text{）}$回繰り返す．ただし，取り出したカードは元に戻さない．$k$回目に番号$k$のカードを引く確率を$P$で表す．

(1)　$P$が次の式で表されることを説明せよ．

$P={\displaystyle \frac{1}{n}}$

(2)　次の$m$を$n$を用いて表せ．

$m={\displaystyle \sum _{k=1}^n}kP$

(3)　(2)の$m$に対して，次の$\sigma$を$n$を用いて表せ．

$\sigma =\sqrt{{\displaystyle \sum _{k=1}^n}{(k-m)}^{2}P}$

(4)　(2)，(3)の$m\text{，}$$\sigma$に対して，次の不等式を示せ．

$0<|{\displaystyle \frac{\sigma }{m}}-{\displaystyle \frac{1}{\sqrt{3}}}|<{\displaystyle \frac{2}{\sqrt{3}(n+1)}}$

【２】　情報科学に関する基礎学力，論理的思考力と分析力をみる小論文の問題である．このことに留意し，以下の問いに答えよ．

　$2$つの整数$a\text{，}$$b$と正の整数$m$に対して，$a-b$が$m$で割り切れるとき，$a$と$b$は$m$を法として合同であるといい，$a\equiv b(\mathrm{mod}m)$と表す．例えば，$5\equiv 8(\mathrm{mod}3)$である．

(1)　$a\equiv b(\mathrm{mod}7)$となる$a\text{，}$$b$の値の例を理由とともに示せ．

(2)　$4$つの整数$a_1\text{，}$$a_2\text{，}$$b_1\text{，}$$b_2$と正の整数$m$に対して，$a_1\equiv a_2(\mathrm{mod}m)$かつ$b_1\equiv b_2(\mathrm{mod}m)$とする．このとき，$a_1{b}_1\equiv a_2{b}_2(\mathrm{mod}m)$となることを示せ．

(3)　$2$つの整数$\alpha \text{，}$$\beta$と$2$つの正の整数$m\text{，}$$n$に対して，$\alpha \equiv \beta (\mathrm{mod}m)$のとき，${\alpha }^m\equiv {\beta }^n(\mathrm{mod}m)$となることを示せ．

(4)　$2^{297}$を$7$で割った余りを求めよ．

【３】　情報科学に関する基礎学力，論理的思考力と分析力をみる小論文の問題である．このことに留意し，以下の問いに答えよ．

　文化祭の準備作業の予定を立てたい．作業は$\mathrm{A}$から$\mathrm{F}$の$6$つあり，それぞれの作業に対して，かかる時間，必要な作業員の人数，先に済ませる必要がある作業を以下の表にまとめた．

ただし，以下の条件を満たすとする．

$\text{①}$　一人の作業員が複数の作業を同時に行うことはできない．

$\text{②}$　一つの作業を分割して行うことはできない．

$\text{③}$　すべての作業は，必要な作業員の人数がそろわないと始めることはできない．

$\text{④}$　一旦作業に入った作業員は，その作業が終了するまで変更できない．

$\text{⑤}$　作業員はどの作業もできる．

$\text{⑥}$　複数の作業は，必要な作業員が確保できる限り，同時に進めることができる．

(1)　作業員を募集したい．最短の時間で作業を終わらせるためには最低何人の作業員で作業すればよいか．

(2)　後日，(1)で求めた最低人数の作業員が集まり作業した．その結果，作業$\mathrm{B}$はうまくいかず$4$時間かかり，作業$\mathrm{C}$は$2$時間で済んだ．すべての作業が終わるまでに要した最短の時間を求めよ．