【3】 素数は無限に存在することを以下のように2部に分けて証明した.これを読み,後の問に答えよ.
第1部自然数(正の整数)全体の集合をで表す.の部分集合が有限個の要素からなるとき,の要素の個数をで表す.の部分集合が有限個の要素からなるとき
であるから,とくに
が成り立つ.同様に,の部分集合が有限個の要素からなるとき
が成り立つことがいえる.
第2部第1部を踏まえ,素数は無限に存在することを背理法によって証明する.
素数が有限個しかないと仮定し,それらを小さい順に(は素数の個数)とする.例えばであり,または(存在していると仮定している)最大の素数である.(ア)に対し,の倍数である自然数全体の集合をとする.である.とおき,以下の自然数全体の集合をとする.である.
をみたす任意の自然数に対して,がで割り切れるような番号がとれる.なぜなら,の素因数分解は
(は以上の整数)
の形になるが,どのについてもがで割り切れないと仮定すると,はすべて以下となるのでが成り立つことになり,(イ)矛盾が生じるからである.よってのとき,となる番号がとれる.
の部分集合と自然数に対して,の要素のうち以下であるもの全体をで表す(例えばである).すると以下の自然数に対して,ならならある番号についてである.
よって
が成り立つ.するとより,任意の自然数に対して
(ウ)
すなわち
が成り立つ.しかし,をみたす自然数をとると
なので,不等式は(エ)のとき成り立たず,矛盾が生じる.
[設問]
(1) 不等式に関して次の問に答えよ.以下の自然数のうち,の倍数からなる集合をの倍数からなる集合をとする.とをそれぞれ求め,どちらが大きいか述べよ.
(2) (1)に加えて,以下の自然数のうち,の倍数からなる集合をとする.とをそれぞれ求め,どちらが大きいか述べよ.
(3) 不等式について,のときはを回使って
と導かれる.ここで,図1の斜線部は図2の斜線部と図3の斜線部の和集合であることを使った.
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図1: |
図2: |
図3: |
を導いたのと同様の考え方を用いて,をの場合に示せ.
(4) 下線部(ア)に関して,の要素のうち,以下のものをすべて挙げると
である.第2部で導入した記号を用いてかくと
である.の要素のうち,以下のもの(つまりの要素)をすべて挙げよ.
(5) 下線部(ア)に関して,の要素のうち,50以下のもの(つまりの要素)をすべて挙げよ.
(6) 下線部(イ)の理由をわかりやすく説明せよ.
(7) 下線部(ウ)について,とおく.の要素のうち,最大のものをを用いて表せ.さらに,となる理由をわかりやすく説明せよ.
(8) 下線部(エ)の理由をわかりやすく説明せよ.