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図1
先生 今日は面白い問題を用意してきたので,一緒に考えてみよう.図1を見てごらん.辺の長さがの小さな正方形(これを小正方形と呼ぶことにする)を縦に個,横に個並べて,長方形を作るよ.そして,対角線を本引く.このとき,対角線と交わる小正方形の個数を求めたいんだ.
生徒 へー.そんなこと,考えたこともなかったです.やってみます.図1で,斜線を引いてある小正方形の個数を数えればいいんですね.全部で個です!
先生 正解.ただし,そのやり方だと,長方形が大きくなったときに,個数を数えるのが大変だと思わない?そこで,もう少し上手な方法を考えてみようよ.
生徒 何だか難しそうで,心配です….
先生 まあ,そう言わずにやってみようよ.図1の対角線は,小正方形を縦に個,横に個並べてできる長方形の内部にある縦の線と,何回交わるかな?
生徒 それは,回ですね?
先生 その通り.じゃ,図1の対角線は,小正方形を縦に個,横に個並べてできる長方形の内部にある横の線と,何回交わるかな?
生徒 それは,回です.
先生 その通り.ということは,この対角線は,小正方形の辺(ただし頂点は除く)と,全部で,回,交わるということだ.こう考えると,わざわざ斜線を引いてある小正方形の個数を一つ一つ数えなくても,その個数を求められるよね?
生徒 えーっと….秒の沈黙.)あ,そうか!分かった分かった!
先生 さすがだね.それじゃ,少し数字を変えた問題を出そう.小正方形を縦に個,横に個並べて,長方形を作る.そして,本の対角線を引く.このとき,対角線と交わる小正方形の個数を求めてごらん.
生徒 私はもういちいち図をかいて数えたりしません!答えは個です!
先生 正解.じゃあ,小正方形を縦に個,横に個並べて,長方形を作った場合,本の対角線と交わる小正方形の個数は?
生徒 個です!
先生 大正解.もう完全にこの問題をマスターしたね.
生徒 ありがとうございます.ただ,この問題を考えていて,少し気になったんですが,もし本の対角線が小正方形の頂点を通過することがあると,この考え方は使えないのではないですか?
先生 良いところに気が付いたね.じゃあ,試しに小正方形を縦に個,横に個並べてできる長方形を考えてみようか.ただしこれからは,対角線との共有点が頂点のみであるような小正方形は数えないものとするよ.
生徒 えーっと,小正方形を縦に個,横に個並べてできる長方形ということは,さっき考えた,小正方形を縦に個,横に個並べてできる長方形を縦に個,横に個,張り合わせているということですよね.秒の沈黙.)そうか,分かった分かった!ということは,本の対角線と交わる小正方形の個数は個になります!
先生 大正解.じゃあ,小正方形を縦に個,横に個並べてできる長方形の場合,本の対角線と交わる小さな正方形の個数は?
生徒 はい,個です!
先生 OK.それじゃあ,最後に,ちょっと高度な問題を出すよ.来年度は年度になることに因んで,小正方形を縦に個,横に個並べてできる長方形の長方形を考えてみよう.本の対角線と交わる小正方形の個数は?
生徒 えー,先生,それはさすがに私には難しすぎます….
先生 そんなに心配することはないよ.まず,との最大公約数はいくつかな.
生徒 秒,計算する.)分かりました.ですね.秒の沈黙.)あ,分かった!この大きな長方形は,小正方形を縦に個,横に個並べてできる長方形を縦に個,横に個,張り合わせているということですよね!ということは,本の対角線と交わる小正方形の個数は個になります!
先生 その通り.そろそろ,君自身が公式を作る準備が整ったみたいだ.を自然数として,は互いに素であるとしよう.分かっていると思うけど,互いに素とは,の最大公約数がということだ.このとき,小正方形を縦に個,横に個並べてできる長方形の本の対角線と交わる小正方形の個数は,いくつになるかな?
生徒 出来そうな気がします.ちょっと時間をください.(数分間,計算する.)求まりました!個です!
先生 大正解!
生徒 ありがとうございます!最初に先生がおっしゃった通り,本当に面白い問題でした!
[設問]
(1) 空欄に入る数や式を解答用紙に書け.答えのみでよい.
(2) 座標平面上の放物線を以下で定義する.
によって二つの領域に分割されるような小正方形はいくつあるか.ただし小正方形とは,座標がともに整数であるような頂点と,長さがの辺とで構成される正方形の,周および内部であるとする.
の各頂点から対辺またはその延長上に垂線を下ろすと,本の垂線は点で交わる.
[証明] (ア)が直角三角形のとき,本の垂線は点で交わる.したがって,以下ではは鋭角三角形または鈍角三角形であるとしてよい.頂点から直線に下ろした垂線と直線の交点を頂点から直線に下ろした垂線と直線の交点をとし,直線と直線の交点をとおく.このとき,直線と直線が垂直に交わることを示せばよい.直線と直線の交点をとし,辺の中点をとする.
(ⅰ) が鋭角三角形のとき右の図よりである.したがって,四角形は円に内接する.なぜなら,一般にからである.
よってである.なぜなら,一般に円上に弧があるとき,からである.
次に,であるから,とはともにを中心とする半径の円に内接する.よって四角形もこの円に内接するので,である.以上より,とにおいて
が成り立つ.したがって,よって,とは相似である.
とくに,である.つまり,直線と直線は垂直に交わる.
(ⅱ) が鈍角三角形のとき
(ⅰ)と同様にして,(イ)直線と直線は垂直に交わることがわかる.
[設問]
(1) 下線部(ア)について.このことを証明せよ.
(2) 空欄に入る性質を述べよ.ただし,円周角という言葉を用いてはならない.
(3) 空欄に入る適切な性質をかけ.ただし,円周角という言葉を用いてはならない.
(4) 空欄に入る相似条件をかけ.
(5) 下線部(オ)について.このことを証明せよ.