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先生:を以上の自然数とする.と番号が一つずつ書かれた枚のカードが,上から番号の小さい順に重ねられて,一つの山ができあがっているとする.このカードを使ってゲームをやってみないか.私が山の中から枚を選ぶので,その枚に書かれた番号を君が当てるというゲームだ.
生徒:面白そうです.僕がその番号を当てたら,僕の勝ちということですね.
先生:それでは,私が枚のカードを選ぶ方法を言うよ.山の中にあるカードのうち,一番上のものを捨て,二番目に上のものを,山の一番下に回す.この操作を,山に対して何度も繰り返す.そして,山の中にあるカードが枚だけになったところで,この操作を終える.その枚が,私の選ぶ枚だ.
生徒:枚を選ぶ手続きがまだよく理解できていません
先生:例えば,からまでの番号が書かれた枚のカードの山があったとしよう.このとき,山の変化は
となる.だからだ.
生徒:なるほど,ゲームのルールが分かりました.
先生:では,問題を出すよ.山が,からまでの番号が一つずつ書かれた枚のカードでできているとき,私が選ぶカードの番号はいくつかな.
生徒:回の操作を行うごとに,操作によって山がどう変化していくかを考えればいいんですね.(ⅰ)にならって,山がどう変わっていくかを書いていきますね.
となるので,です!
先生:OKだ.では,山が,からまでの番号が一つずつ書かれた枚のカードでできているとき,私が選ぶカードの番号はいくつかな.山が大きくなってきたけれども,落ち着いてやれば大丈夫だ.
生徒:分かりました.先ほどのように,(ⅰ)にならって,回の操作を行うごとに山がどう変わっていくかを書いていきますね.
となるので,です!
先生:大正解だ.ただし,もう少し楽に答えを求める方法を考えてみないか.最初に枚のカードがあったが,操作を回するたびに,山の中のカードの枚数がずつ減っていくよね.そしてのところで,カードが枚になった.そこから先は,山がどう変化していくかを書き出さなくても,最後にどれが残るかは,分かってしまうんだよ.
生徒:え,本当ですか?僕にはその理由が全然分かりません.
先生:落ち着いて考えてごらん.先ほど,枚のカードからなる山に対して操作を繰り返して,を求めたよね.そのとき最後に残ったのは,最初の山の枚のうち,上から番目のカードだった.ということは
生徒:(数秒間考える.)なるほど,ひらめきました!カードの枚数がからずつ減っていって,になった時点で,最終的にどの位置にあるカードが残るかが決まってしまうんですね.
先生:よく気づいたね.これで,より一般的な議論をする準備が整ったようだ.とがいくつだったか思い出すと,を自然数とするとき,が成り立つと予想できるよね.これを(セ)数学的帰納法を用いて証明してごらん.
生徒:分かりました.やってみます.(数分間作業をする.)先生,できました.
先生:よくできたね.最初の山が枚のカードでできていたとき(ただしは自然数),操作を回繰り返すと,山の中にあるカードの枚数が枚になることが,この証明のポイントだったね.
生徒:とても面白いゲームでした.ただ,がのべき乗以外のとき,はどうやったら求められるか,気になります.
先生:それはぜひ自分で考えてごらん.まずは試しに(タ)を求めてみたまえ.操作を回やれば,カードの枚数がになることに注意するんだよ.それが求まったら,次に(チ)を求めてみるといいだろう.操作を何回やると,カードの枚数がになるかを考えるとよいだろう.
生徒:分かりました.解き終わったら,また来させて頂きます!
設問
(1) 空欄(ア)〜(ス)を埋めよ.ただし(サ)には,(エ)〜(コ)のうち当てはまる記号をかけ.
(2) 下線部(セ)を実行せよ.
(3) 空欄(ソ)を埋めよ.
(4) 下線部(タ)を実行せよ.
(5) 下線部(チ)を実行せよ.
【3】 次の会話文を読み,後の設問に答えよ.
先生:今日は三角関数の加法定理の勉強をしたいと思う.
生徒:それなら,覚えています.任意の実数に対して
が成り立つという定理です.でも,その理由が説明できるかというと,少し心配になります.
図1
図2
先生:そうだったのか.では,この定理がなぜ成り立つかを考えることから始めよう.まず,図1のように単位円周上に点を描く.そして,を,原点を中心にだけ回転させた点をとする.
生徒:とすると,点の座標はとなりますね.
先生:次に図2のように,点を原点を中心にだけ回転させた点をそれぞれとする.
生徒:少し話が複雑になってきましたけれども,頑張ります.点の座標はです.それから点の座標はです.
先生:とすると,点間の距離の乗と,点間の距離の乗とを,それぞれ求めることができるはずだ.
生徒:やってみます.(数分間計算する.)できました.です.それから,です.
先生:ここでちょっと考えて欲しいことがある.点間の距離の乗と,点間の距離の乗との間には,どのような関係式が成り立つかな.
生徒:(数秒間考える.)あっ,分かりました,です!なぜなら,一般に回転によってからです.
先生:その通りだ.これで,君はもう自力で(ⅰ)を証明することができるはずだ.(ク)やってごらん.
生徒:(数分間計算する.)できました.自分が今まで使っていた公式の証明がやっと理解できて,一安心しました.ただ,少し心配が残っています.先ほど描いた図1と図2は,やがとの間にあるかのような図になっていますが,これとは違う状況もありうるんじゃないでしょうか.
先生:そういうところまで気配りができるのは立派なことだ.それでは,実際に試してみよう.例えば,だとしよう.この特別な場合に図1と図2を(ケ)実際に書き換えてごらん.これをそれぞれ図3と図4とするよ.
生徒:(数分間図を描く.)できました.
先生:すると,図3の中の点図4の中の点の座標は,先ほどを使って表した座標にを代入したものと一致するね.
生徒:確かにその通りです.安心しました.
先生:以上で(ⅰ)が証明できたので,(ⅱ)の公式もすぐに証明できるが,今日のところは時間がないので,これは省略する.それよりも,今証明した(ⅰ)を使って,もう少し発展的なことを考えてみよう.実は,を実数とすると,をの整式で表すことができるんだ.考えてごらん.
生徒:(数分間考える.)方針が見えたような気がします.(コ)今からやってみます.
先生:よく頑張ったね.今日のところはここまでにしておこう.ただ,一般に,を自然数とすると,をで表すこともできるんだよ.もしよかったら,自分でその理由を考えてみると面白いと思うよ.
生徒:分かりました.ありがとうございました.
設問
(1) 空欄(ア)〜(オ)を埋める適切な座標や数式をかけ.ただし,(エ)はの式,(オ)はの式とする.また,空欄(カ),(キ)を埋める適切な数式または語句をそれぞれ下の語群から選べ.
・【(カ)の語群】
・【(キ)の語群】
点間の距離は大きくなる
点間の距離は変わらない
点間の距離は小さくなる
(2) 下線部(ク)の指示に従い,(ⅰ)を証明せよ.
(3) 下線部(ケ)を実行し,図3と図4とを描け.単位円周上にプロットされた点の座標を示すなど,見やすく丁寧に描くこと.
(4) 下線部(コ)を実行せよ.