2023 慶応義塾大学 総合政策学部MathJax

Mathematics

Examination

Test

Archives

2023 慶応義塾大学 総合政策学部

2月17日実施

易□ 並□ 難□

【1】 整数 n の正の約数の個数を d (n ) と書くことにする.たとえば, 10 の正の約数は 1 2 5 10 であるから d (10 )=4 である.

(1)  2023 以下の正の整数 n の中で, d( n)= 5 となる数は, (1) (2) 個ある.

(2)  2023 以下の正の整数 n の中で, d( n)= 15 となる数は, (3) (4) 個ある.

(3)  2023 以下の正の整数 n の中で, d( n) が最大となるのは n = (5) (6) (7) (8) のときである.

2023 慶応義塾大学 総合政策学部

2月17日実施

易□ 並□ 難□

【2】 実数 t 0 に対して関数 G (t ) を次のように定義する.

G( t)= tt+1 | 3x2 -8 x-3 | dx

このとき

(1)  0t < (9) のとき

G( t)= (10) (11) t2+ (12) (13) t+ (14) (15)

(2)  (9) t< (16) のとき

G( t)= (17) (18) t3 + (19) (20) t2 + (21) (22) (23) t+ (24) (25)

(3)  (16) t のとき

G( t)= (26) (27) t2+ (28) (29) t+ (30) (31)

である.また, G( t) が最小となるのは, t= (32) (33) + (34) (35) (36) (37) のときである.

2023 慶応義塾大学 総合政策学部

2月17日実施

易□ 並□ 難□

【3】 あるすごろくのゲームでは, 1 枚のコインを投げてその裏表でコマを前に進め, 10 マス目のゴールを目指すものとする.

2023年慶応義塾大総合政策学部【3】2023133380603の図

コマは,最初, 1 マス目のスタートの位置にあり,コインを投げて表であれば 2 マスだけコマを前に進め,裏であれば 1 マスだけコマを前に進める.ただし, 9 マス目で表が出たために 10 マス目を超えて前に進めなくてはならなくなった場合には,ゴールできずにそこでゲームは終了するものとする.また,コインの表と裏は等しい確率で出るものとする.

 このとき,ある 1 回のゲームの中で n マス目 n=1 2 10 にコマがとまる確率を p n とすると

p1= 1 p2 = 12 p3 = (38) (39) (40) (41) p4 = (42) (43) (44) (45)

である.一般に

pn = (46) (47) (48) (49) + (50) (51) (52) (53) ( (54) (55) (56) (57) )n

である.また,コマがゴールしたとき,スタートからゴールまでにコインを投げた回数は平均 (58) (59) (60) (61) (62) (63) (64) (65) 回である.

2023 慶応義塾大学 総合政策学部

2月17日実施

易□ 並□ 難□

2023年慶応義塾大総合政策学部【4】2023133380604の図

【4】  xy 平面上で x 座標も y 座標も整数である点を格子点という. m n を正の整数とするとき, xy 平面上に点 Pi ,j i=1 2 m j=1 2 n を格子点 ( i,j ) 上に置く.次に,これらの点を囲むように A (0.5 ,0.5 ) B (m+ 0.5,0.5 ) C (m+ 0.5,n+ 0.5) D (0.5 ,n+ 0.5) を頂点とする長方形を描く.

 長方形 ABCD の内側に,以下のように「軌道」を作図する.

1.  Pi ,j の外周の点 i=1 または i =m または j =1 または j =n の点)を選び,その点から 0.5 の距離だけはなれた長方形 ABCD の辺上の点を軌道の起点とし,起点の置かれた辺と 45 ° の角度をなす直線の軌道を長方形 ABCD 内に描く.

2. 軌道が長方形 ABCD の別の辺にぶつかった場合,軌道を直角に曲げる.この操作を繰り返すと,軌道はいずれ起点に戻るので,そこで描くのを停止すると,一筆書きで閉じた1つの軌道が得られる.

3. ステップ1と2で描いた軌道の内側にすべての点 P i,j が含まれているようなら,作図を終了する.軌道の外にある点が残っている場合,まだ軌道の外にある外周の点 P i,j を選び,ステップ1以降の操作を繰り返す.

2023年慶応義塾大総合政策学部【4】2023133380604の図

すべての点 P i,j を軌道内に納めるために必要な最小の軌道の数を T (m ,n) と書くことにする.

 右の図は T (4 ,2) =2 であることを示している(異なる軌道を破線と点線で描き分けた).

(1)  T( 4,4 ) (66) (67) である.

(2)  T( 15,5 ) (68) (69) である.

(3)  T( 2023,1015 ) (70) (71) である.

(4) 下の 12 個の T (m ,n) の値の最大値は (72) (73) であり,最大値を取るものが (74) (75) 個ある.

T( 2,1 ) T( 3,2 ) T( 8,5 )
T( 6,3 ) T( 9,6 ) T( 24,15 )
T( 63,39 ) T( 165,102 ) T( 699,267 )
T( 2961,1131 ) T( 7752,4791 ) T( 32838,12543 )

2023年慶応義塾大総合政策学部【4】2023133380604の図

2023 慶応義塾大学 総合政策学部

2月17日実施

易□ 並□ 難□

2023年慶応義塾大総合政策学部【4】2023133380604の図

【5】 サッカーボールは 12 個の正五角形と 20 個の正六角形からなり,切頂二十面体と呼ばれる構造をしている.以下では,正五角形と正六角形の各辺の長さを 1 であるとし,右図のように頂点にアルファベットで名前をつける.なお,正五角形の辺と対角線の長さの比は 1 : 1+5 2 である.

(1)  O A1 OA 2 の内積は

O A1 O A2 = (76) (77) + (78) (79) (80) (81) (82) (83)

である.

(2)  OB OC OD を, O A1 O A2 O A3 であらわすと

OB = (84) (85) + (86) (87) (88) (89) O A1 + (90) (91) O A2

OC = (92) (93) OA 2 + (94) (95) O A3

OD = (96) (97) OA 1 + (98) (99) + (100) (101) (102) (103) O A2 + (104) (105) OA 3

となる.

(3)  A1 A2 A3 の面積は

(106) (107) + (108) (109) (110) (111) (112) (113)

である.

2023 慶応義塾大学 総合政策学部

2月17日実施

易□ 並□ 難□

【6】 いま, A 部族(以下 A B 部族(以下 B のどちらに帰属しているかはっきりしない土地がある. A B には交渉を行って双方が納得できる案で妥協する選択肢と,紛争を起こしてその土地の支配権を得る選択肢がある.ここでは単純化のために,この土地の価値は A B にとって 1 であるとし, A B の間の交渉では, 1 A B にどのように分配するかが話し合われるものとする.したがって, A B の分配値は 0 以上 1 以下であり,合計すると 1 になる.また,紛争が起きた場合には,人や物的インフラの損傷などの紛争コストが発生することを考慮し, A B の紛争を起こすことで期待できる価値は,(この土地の価値が 1 なので)勝利確率から紛争コストを引いた値とする.

 以下では 3 つの期間を考え, 1 期目の期間中に紛争が起きた場合の A B の勝利確率をそれぞれ 67 17 2 期目の期間中に紛争が起きた場合の A B の勝利確率をそれぞれ 57 2 7 3 期目の期間中に紛争が起きた場合の A B の勝利確率をそれぞれ 27 57 とする.また,紛争コストは A B 共に 15 とする.

 まず, 1 期目の交渉案の分配値が A B 共に紛争で期待できる価値以上であれば,交渉案を受け入れ紛争を起こさず,期待できる価値未満であれば紛争を起こすものとすると, A は自らの分配値が (114) (115) 35 以上であれば交渉案を受け入れ, B A の分配値が 1 以下であれば交渉案を受け入れる.また,紛争が起きた場合には, 2 期目と 3 期目に A B が期待できる価値は 1 期目に期待できる価値と同一とする.

 もし 1 期目に交渉が妥結した場合は, 2 期目に改めて交渉が行われ, A の分配値が (116) (117) 35 以上で (118) (119) 35 以下ならば, A B 共に紛争で期待できる価値以上なので A B 共に交渉案を受け入れ紛争を起こさず,そうでない場合には紛争を起こし,その場合には, 3 期目に A B が期待できる価値は 2 期目に期待できる価値と同一とする.

 もし 2 期目に交渉が妥結した場合には, 3 期目に改めて交渉が行われ, A の分配値が (120) (121) 35 以上で (122) (123) 35 以下ならば, A B 共に紛争で期待できる価値以上なので A B 共に交渉案を受け入れ紛争を起こさず,そうでない場合には紛争を起こす.

 以下では,各期において交渉が妥結した場合には, A の分配値は, A B 共に受け入れられる A の分配値の上限値と下限値の中間に定まるものと仮定しよう.すると, A が得られると期待できる価値の 3 期分の合計は, 3 期すべてで交渉が妥結した場合 (124) (125) 35 となり, 1 期目に紛争が起きた場合 (126) (127) 35 であり, 2 期目に紛争が起きた場合 (128) (129) 35 であり, 3 期目に紛争が起きた場合 (130) (131) 35 となる. B に紛争を起こすインセンティブがないことは容易に確認できるので, A はこれらの期待できる価値を比較して,紛争を起こすか起こさないか,また起こすとしたらどのタイミングで起こすかを決めることになる.

 また,紛争コストが A B 共に 25 に増加した場合, A が得られると期待できる価値の 3 期分の合計は, 3 期すべてで交渉が妥結した場合 (132) (133) (134) 70 となり, 1 期目に紛争が起きた場合 (135) (136) (137) 70 であり, 2 期目に紛争が起きた場合 (138) (139) (140) 70 となる.

 さらに,紛争コストが A B 共に 25 に増加し,問題となっている土地の価値が 2 期と 3 期で A B 共に 2 に増加したとすると, A が得られると期待できる価値の 3 期分の合計は, 3 期すべてで交渉が妥結した場合 (141) (142) (143) 70 となり, 1 期目に紛争が起きた場合 (144) (145) (146) 70 であり, 2 期目に紛争が起きた場合 (147) (148) (149) 70 となる.

 なお,この問題では,価値の比較が簡単にできるように,分数を必ずしも既約分数とはせずに書いている.

inserted by FC2 system