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【1】 次の文章を読んで,問1,2,3,4に答えよ.問1,2,3については,最終結果だけではなく途中の計算もあわせて記述すること.また,必要ならば次の真数と常用対数の対応表の数値をそのまま用いてもよい.例えば,としてよい.
回の挑戦で当たる確率がであるくじ引きがある.このくじ引きでは,挑戦ごとに当たる確率は変わらないとする.次は,このくじ引きに回挑戦しても当たらなかったとその友人の会話である.
:「当たる確率がというので回くじを引いたけど,全然当たらないじゃないか.このくじ引き,おかしいんじゃないの.回くじを引けば,ほぼ確実に当たりが出るんじゃないの.」
:「それはどうかな.『ほぼ確実』って,どの程度のこと?」
:「そりゃ,に決まっているだろう!」
以下の問では,くじ引きに回挑戦し全く当たりが出ない確率をとし,一度でも当たりが出る確率をとする.
問1 を百分率で表したときの整数部を求めよ.
問2 となる最小のを求めよ.
問3 が以上となる最小のを求めよ.
問4 会話の登場人物に対してこのくじ引きについて数理的に説明を行う場合,あなたならどのような説明を行うか文章をまとめよ.必要ならば,上記の各問で求めた値などを用いてよい.
真数と常用対数の対応表
真数 | |||||
常用対数 |
真数 | |||||
常用対数 |
真数 | |||||
常用対数 |
真数 | |||||
常用対数 |
同じ見た目で同じ重さの重りがいくつかと,天秤が個ある.天秤の皿には重りを何個でも乗せることができるが,両方に乗せた重りのどちらが重いかだけを調べることができるとする.重りの中に不良品が個混じってしまったとしよう.不良品は他の重りと比べて少し重い.しかし,見た目や手で持った感覚だけでは他の重りと区別することができない.そこで天秤を使ってその不良品を見つけたい.
重りが個あったとする.不良品を見つけるために,次のような[手順1]を考えた.
[手順1]
個の重りをとする.
ステップ1.とを天秤の左に,とを右に乗せて比べる.ステップ2へ進む.
ステップ2.次の通りのいずれかを行う.
2a.の方が重い場合は,
を左,を右に乗せる.重いほうが不良品であると判定する.
2b.の方が重い場合は,
を左,を右に乗せる.重いほうが不良品であると判定する.
2c.とがつり合った場合は,
が不良品であると判定する.
このような手順が書かれていれば,天秤と個の重りを使って,誰でもどれが不良品であるかを決定できる.しかし,この手順で「不良品である」と決まった重りが本当に不良品なのかどうか,つまり本当は正しい重りなのに「不良品である」と決められてしまうことがないかどうかは,手順を見ただけでは分からない.
そこで[手順1]によって不良品を確かに見つけることができることを,次のように説明した.
(上記の手順が正しいことの説明)
ステップ1でとを比べると,その結果は「の方が重い」「の方が重い」「つり合う」の通りのいずれかになる.
・の方が重い場合は,またはのうちいずれか個が不良品であり,もう一方が正しい重りである.ステップ2aでその個を比べ,重い方を不良品としているので,結果は正しい.
・の方が重い場合は,またはのうちいずれか個が不良品であり,もう一方が正しい重りである.ステップ2bでその個を比べ,重い方を不良品としているので,結果は正しい.
・とがつり合った場合は,したがって,が不良品である.ステップ2cでが不良品であるとしているので,その結果は正しい.
ここで「手順」を書く際には,以下のことに注意して記述するべきである.手順とは,それを読むだけで誰でも実行できるものでなければならない.そのため,読む人にとって分かりやすく書かれていることが望まれる.また,その手順を実行し終えたら,つの重りが不良品として決定されていなければならない.書かれた手順に従って実行した結果,どれが不良品なのかが決まっていなかったり,個以上の重りが不良品として決まったりするようなことがあってはならない.
具体的には,次のようなことに注意して手順を記述する必要がある.
1.なるべく簡潔な文章を使う.
2.一つひとつのステップが複雑にならないようにする.
3.手順の各ステップで実行すべきことが,つに決まるように書く.
4.手順をやり終えたときには,どの重りが不良品であるかが明記されている.
例えば次の[手順2]の記述には問題がある.
(誤った手順の記述の例)
[手順2]
個の重りをとする.
ステップ1.とを天秤の左に,とを右に乗せて比べる.ステップ2へ進む.
ステップ2.次の通りのいずれかを行う.
2a.の方が重い場合は,
を左,を右に乗せる.重いほうが不良品であると判定する.
2b.の方が重い場合は,
を左,を右に乗せる.
この記述では,[手順2]のステップ1で天秤がつり合った場合に,ステップ2で行う内容が書かれていない.また,ステップ2bではどれが不良品かが判定されていない.
問1 上記の説明にある⑴から⑷にはのいずれかの記号が入る.適切な記号を書け.また,⑸に入れるのに適切な文言を書いて文を完成させよ.
問2 今度は個の重りの中に不良品が1個だけある.不良品は他の重りと比べて少し重い.不良品を見つける手順を記述せよ.また,その手順で不良品が正しく見つけられることを説明せよ.ただし,天秤の使用は回以下とする.
問3 個の重りと重さが正しいと分かっている重りがあるとする.個だけ不良品があるが,今度は不良品が重すぎるのか軽すぎるのか分からない.天秤を使って不良品を見つけるための手順を示し,その手順で不良品が正しく見つけられることを説明せよ.ただし,天秤の使用は回以下とする.
問4 我々の生活の中には「手順」が書かれたものがある.具体的な例を挙げ,その手順が読者に伝わりやすくなるように工夫している点について述べよ.(字程度)