2022 滋賀県立大学 後期総合問題MathJax

Mathematics

Examination

Test

Archives

2022 滋賀県立大学 後期総合問題

環境科(環境政策・計画学科)学部

易□ 並□ 難□

【2】 次の文章を読んで,後の問い(問1〜3)に答えよ.なお解答とともに導出過程を解答欄で説明せよ.

 一般に,悪化した水質を改善するためには,湖は河川に比べて時間がかかると言われている.最も大きな理由は,湖の滞留時間が長く,水が入れ替わるために河川より長い時間を必要とするからである.ここで滞留時間とは,水の入れ替わりやすさを表す指標であり,湖や河川に存在する水の体積を 1 年間に流入・流出する水の体積で割ることで定義される.琵琶湖であれば,滞留時間は約 5.5 年である.

 時間 t =0 年の時点で湖に存在した水のうち t 年後にも湖に残っている水の体積の割合を残存率 R (t ) 0R (t) 1 と定義して,滞留時間が Y 年の湖の R (t ) を考えていく.なお,湖の水は常に完全に混合されており,湖面への降水や湖面からの蒸発などはすべて流入や流出の中に含まれているとする.

問1 滞留時間の定義より,滞留時間が Y 年の湖では 1 年間に,湖の水の 1Y の体積の水が流入・流出する.この 1Y の体積の水が 1 年の間のどの時期にどれくらい流入・流出するかについては様々なパターンが考えられるが,ここではまず, 1 年に 1 回,湖から 1Y の体積の水が流出して,その後に同じ体積の新しい水が湖に流入してくる 1Y の体積の水が入れ替わり, (1 1Y ) の体積の水が残存する)ことが毎回繰り返されているとする.

(1) 滞留時間 Y =16 年の湖の 2 年後の残存率 R (2 ) を小数点以下 3 桁まで求めよ.

(2) 滞留時間が Y 年の湖の R (t ) Y t を用いて数式で答えよ.

問2 次に, 1 年を M 等分して, 1 M 年毎に 1MY の体積の水が湖から流出して,その後に同じ体積の新しい水が湖に流入してくることが毎回繰り返されているとする.

(1) この湖の残存率 R (t ) Y t M を用いて数式で答えよ.

(2) 滞留時間 Y =4 年の湖において M =4 のとき,残存率 R (t ) 0.5 以下となるために必要な年数 t log10 2 log10 3 log10 5 を用いて答えよ.

(3) (2)の年数 t を求めよ.必要であれば, log10 2=0.301 log10 3=0.477 log10 5=0.699 の値を用いよ.

問3 問2の湖において M を無限大 M にして,無限に細かい(無限小の)時間単位で湖の水が入れ替わっているとする.このとき,湖は一定の時間内に同じ体積の水が連続して流入・流出している状況と同じとなり,この湖の残存率 R (t ) 式の指数関数で表されることがわかっている.ここで e e>1 は自然対数の底と呼ばれる正の定数である.

R( t)= e-1 Y

この湖において,残存率 R (t ) 0.5 となるのに必要な年数を H 年とする.

(1)  H Y e を用いて数式で答えよ.

(2) この湖の t =kH 年後 k は任意の自然数)の残存率が 式で表されることを 式を用いて示せ.

R( t)= R( kH) =( 12 )k

(3) 琵琶湖の滞留時間が Y =5.5 年であり,残存率 R (t ) 式に従うとする.このとき琵琶湖にとっての H を求めよ.また, R( t) 0.03125 以下となる,すなわち琵琶湖の水の 96.875 % 以上が入れ替わるために必要となる年数 t を整数で求めよ.必要であれば loge 2=0.693 の値を用いよ.

inserted by FC2 system