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プログラミングを勉強しているとは,プログラミングの実践練習も兼ねてすごろくに類似した一人用のゲームを作成することとした.このゲームでは,プレイヤーがボタンを押す度に,プレイヤーの駒が規則に従ってマス目を移動する.
問1-1 以下の説明を読んで,(1)から(4)に答えよ.なお,解答には根拠も記述すること.
図1
図1に示すマス目を利用し,プレイヤーの駒は次の規則に沿って動かすこととした.
規則1. 最初,プレイヤーの駒は一番左のマスに置かれる.
規則2. プレイヤーがボタンを押すと,駒は右隣のマスに移動するか,もしくは同じマスにとどまり動かない.どちらが適用されるかはそれぞれ等確率で選ばれる.
規則3. 駒が一番右のマスにたどり着いたら目標達成となり,そこでゲームは終了する.
ボタンを回押した後に,駒がにある確率をそれぞれとする.ここでは以上の整数とする.
(1) プレイヤーが回ボタンを押した後に,駒がにある確率とにいる確率をそれぞれ求めよ.
(2) を求めよ.
(3) を求めよ.
(4) ゲームを開始してからゲームが終了するまでにボタンを押した回数が回以下である確率を求めよ.
問1-2 以下の説明を読んで,(1)から(3)に答えよ.なお,解答には根拠も記述すること.
問1-1で作成したゲームをテストしながらとは以下のように話している.
:ボタンを押しても駒が動かない場合があると,画面に反応がなくてストレスを感じるので改善したほうがよい.
:それではボタンを押すと必ず移動するようにして,そのかわり移動方向がでたらめに決まるようにしてみたらどうか.
:それがよいと思う.だけど一方向のマス目だと移動方向が限定されて展開に乏しいから,縦と横,両方動けるようにしてみないか.
:そうしよう.
そして次の規則と図2に示すマス目を作成した.
図2
規則1. 最初,プレイヤーの駒は左上のマスに置かれる.
規則2. プレイヤーがボタンを押すと,駒は現在あるマスに隣接するいずれかのマスに必ず移動する.ここで,隣接するとは,辺を共有することを指す.
規則3. どのマスに移動するのかは等確率で選ばれる.つまり,隣接するマスが個ある場合,どのマスも移動先になる確率はである.
規則4. 駒が右下のマスにたどり着いたら目標達成となり,そこでゲームは終了する.
例えば,左上のマスに隣接しているのは右上と左下のマスであり,右下のマスは隣接していない.左上のマスに駒がある状態でプレイヤーがボタンを押すと,移動先の候補となるマスは右上と左下のつであり,どちらかに駒が移動する.この場合であり,どちらのマスも移動先となる確率はずつである.
ボタンを回押した後に,駒がにある確率をそれぞれとする.ここでは以上の整数とする.
(1) を求めよ.
(2) 新しく作ったゲームをテストをしながらとが以下のように話している.
:今回はボタンを回押して目標達成か.
:それは絶対にありえない.回数を数え間違えているはずだよ.
このの発言には正当な根拠がある.この根拠を記述せよ.
(3) を求めよ.
問2-1 を整数,を正の整数とするとき,
となる整数とを,それぞれをで割ったときの商と余りという.このようなとの組は存在し,一通りに定まることを証明せよ.
問2-2 とを整数,を正の整数とする.をで割ったときの余りと,をで割ったときの余りが等しいとき,
と表し,とはを法として合同であるという.をで割ったときの商をとし,余りをとすると,であるから,が成立する.
を整数,を正の整数とするとき,ならば,
であることを示せ.
問2-3 より,をで割ったときの余りはである.ゆえに,である.一方で,位取りの基礎をとしてを表すと,である.ゆえに,であり,
であることから,次を得る.
つまり,をで割ったときの余りはである.
位取りの基礎をとしてを表し,をで割ったときの余りを求めよ.
問2-4 電卓やコンピュータなどを使わず,手計算でをで割ったときの余りを求めることを考える.このとき,をとして計算してからで割ったときの余りを求める方法と比較して,問2-3のように位取りの基礎をとしてを表してからをで割ったときの余りを求める方法がもつ利点を説明せよ.